米ライドシェアリングLyft、アクティブ乗客数の減少を隠すほど売上は成長

米国のライドシェアリング会社、Lyft(リフト)が米国時間2月8日に第4四半期の決算を報告した。結果は成長と減少の入り混じったものだった。アクティブ乗客数はアナリストの予測に達しなかった。

上場企業である同社の2021年第4四半期売上は9億6990万ドル(約1119億円)で、パンデミックによる経済崩壊の大打撃を受けた前年同期より約70%増加した。前四半期比較で、Lyftは第3四半期の売上を12%上回った。

第4四半期のLyftの純損失は2億5860万ドル(約298億円)で、これには「1億6420万ドル(約189億円)の株式ベースの報酬と関連する給与税支出、および歴史的時代に起因する規制機関に定められた保険負担の変更に関係する支出、1億2230万ドル(約141億円)」が含まれることを、同社はすかさず説明した。果たしてそれらすべてを会社の最終収支から外すことを許すかどうかにもよるが、2021年最後の3カ月におけるLyftの調整後純利益は3210万ドル(約37億500万円)、調整後1株当り利益0.09ドル(約114円)になった。

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アナリストらはこの元ユニコーンのスタートアップが、売上9億3890万ドル(約1083億円)、調整後1株当り利益0.09ドル(約114円)を報告すると予測していた。これはTechCrunchの姉妹媒体であるYahoo Finance(ヤフー・ファイナンス)が提供する平均値による。Lyftは自身のガイダンスも上回ったが、アナリスト予測を達成したことに比べると意味は小さい。

2021年第2四半期と第3四半期に、Lyftは利益を計算するための調整方法の1つである調整後EBITDA黒字を初めて報告した。2021年第4四半期には、これらの結果をしのぐ支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益(EBITDA)747万ドル(約86億円)を記録した。

Lyftの株価は時間外取引で3%以上下げた。

同社の四半期決算に関する有力な評論によると、期待ほどではなかったユニーク乗客数がLyftの株価下落の理由かもしれないという。同社が報告した四半期中のアクティブ乗客数は1872万8000人で、前年同時期の1255万2000人を上回った。

しかしウォール街の2021年第4四半期の予測は2000万人強だった。これはLyftと関連サービスの需要が期待に届かなかったことを意味しているのだろう。そして何よりも、同社の第4四半期のアクティブ乗客数は第3四半期と比べて減少しており、未だにパンデミック前レベルより少ない。

Lyftの2020年と2021年のアクティブ乗客数およびアクティブ乗客あたり売上(画像クレジット:Lyftの投資家向け資料より)

乗客数は予測水準を大きく下回っているにも関わらず、Lyftの通年売上は2020年から36%増えた。全般的な利用数増加のためだ。2020年の四半期あたりアクティブ乗客数が1375万人だったのに対して2021年は1700万人だった。

アクティブ乗客あたりの売上が増加したことが売上全体の増加の主要因だ。乗車あたり売上の増加は、大部分が長距離乗車によるものであり、その多くは空港との往復だ。また、乗車の頻度も高かったとLytfは言っている。

オミクロン株の深刻な影響がライドシェアリング需要の減少につながっている中、Lyftは需要が復活し始めることを期待している。

「実際、1月の最終週にはライドシェアリング利用の復活が見られ、私たちはこれをプラスの兆候と見ています」とCFOのElaine Paul(イレイン・ポール)氏が、2月8日の2021年第4四半期および通年の収支会見で語った。

「第1四半期で予想されるオミクロン株の影響と第2四半期に持ち越されるかもしれない不透明な回復の兆しを踏まえると、当社の短期的売上成長の加速が影響を受ける可能性は小さくありません。前回の収支会見で私たちは、2022年通年の売上成長は2021年を上回る見込みだといいました。私たちはそのとおりになることを慎重ながらも楽観的に見ています」。

画像クレジット:Jeenah Moon/Bloomberg / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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