2014年にFacebookが買収したOculus VRの創業者Palmer Luckey(パルマー・ラッキー)氏による防衛関連企業であるAnduril(アンドゥリ)が、米空軍が数十億ドルを投じる、戦争のための最先端の神経システムの入札企業として選ばれた。ラッキー氏は米国時間9月24日のTwitter投稿で、AndurilがそのAdvanced Battle Management System(先進的戦闘管理システム、ABMS)のための、選ばれたベンダーのひとつになったと発表した。
これまでの4カ月間空軍は、そのシステムを開発できると思われる50社あまりのベンダーを指名して、次の5年間でおよそ10億ドル(約1050億円)を受注するチャンスを各社に与えた。そして17社の候補ベンダーが選ばれたが、その中にはAmazon Web Servicesもいた。
一方でそのベンダーリストには、これまでの国防総省の入札であまり見かけることのなかった企業が多く載っており、その意欲的なシステムのタイムラインを加速しようとする「革新的な調達戦略」を反映しているようだ。
かつてOculusを創業して消費者向けVRの黎明期を作り(未訳記事)、トランプの熱心な支持者として議論を巻き起こし(The Daily Beast記事)、最後にはFacebookを解雇された人物(未訳記事)の創業3年のスタートアップであるAndurilは、それにぴったりの企業だ。
空軍のプレスリリースでは 「ABMSの目標は、空軍と宇宙軍が合同チームの一環として共同で活動できるようにすることであり、そのために、各軍のセンサーや意思決定者や武器兵器を安全なデータネットワークで接続して、迅速な意思決定と全軍的な命令系統および制御系統をを可能にする」と説明されている。
空軍の技術調達部次官補Will Roper(ウィル・ローパー)氏は以前「ABMSの入札競争は『新しい血』を導入する。新しい血とは特に、商用にフォーカスしている企業のことで、彼らは「データに関して多くを知り、機械学習と人工知能について多くを知り、そしてアナリティクスについてもよく知っているからだ」と語っていた。
Andurilは、創業3年という短い期間に意外なほど多くの国の仕事を手がけている。6月にトランプ政権はAndurilに、ドローンとセンサーのタワーとAIのソフトウェアから成る国境のバーチャルな壁の構築を発注した。それは同社にとって、特注生産に手を伸ばす機会になるだろう。
ABMSプロジェクトは最終的に、国防総省のJADC2(Joint All-Domain Command & Control、全軍合同命令制御システム)の一環になる。この、戦争のためのメタソフトウェアプラットホームは、すべての人と機器および装備を、陸・海・空・宇宙、そしてサイバーの全軍にわたって接続し、使用する電磁波スペクトルも統一する。
ラッキー氏のツイートによると、Andurilがその契約を取れば「すべてのプラットホームにおける能力の成熟とその開示、および増殖のためであり、そのためにオープンなシステム設計と、現代的なソフトウェアとアルゴリズムの開発を利用して、JADC2を可能にしていく」という。
このプロジェクトに関するDefense Oneの記事によると、「JADC2はすべての艦船と兵士と航空機をリンクして、陸、空、海、宇宙、そしてサイバーの能力が完全に同じデータを共有し、通信が激しく妨害されたり、敵の防空能力が勝(まさ)っている環境であっても、どの部門でも同じ標的に立ち向かうことができる」ということだ。
国防総省の仕事を請け負うことは、Andurilの初日からの最終目標だった。同社は差別なく重要な人材を雇用(The Daily Beast記事)し、税関国境保護局や海兵隊の仕事も引き受け、ハードウェアとソフトウェアが自律稼働し対話するモジュール状ネットワークの小規模な概念実証を作った。
2017年にAndurilがローンチしてから数か月後、TechCrunchでは「Andurilは、戦場における地上兵士と司令部のリアルタイムの心理に関心がある」と書いている(未訳記事)。それはまるで、同社の今回の新しい国防総省の仕事を指しているようだ。
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画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images/Getty Images
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)