米FTCがNVIDIAによるArm買収を競争阻害で提訴

NVIDIAによるArm買収計画が、大きな障害にぶつかった。連邦取引委員会(FTC)は、その400億ドル(約4兆5231億円)の取引がデータセンターや車載コンピューターなど複数の技術分野で競争を「阻害」するとして、合併を阻止するために訴えた。FTCによると、ArmはNVIDIAとライバルたちとの競争を育む「重要なインプット」であり、合併はNVIDIAに、競合他社を「弱体化」させる手段を与えることになると指摘している。

FTCはさらに、NVIDIAがArmのライセンシーの機密情報にアクセスすることを懸念している。またこの合併は、NVIDIAの事業目標に敵対するような技術を開発する意欲を損なうだろう、と委員たちはいう。この行政審判は2022年8月9日に始まる予定だ。

同社は、何も心配していないようだ。NVIDIAはこの訴訟を、FTCのプロセスの「次のステップ」と呼び、買収を肯定する主張を繰り返している。それによると、買収はArmの製品計画を「加速」し、競争を増大し、しかもチップのアーキテクチャの設計者のオープンライセンシングモデルは依然として保護される。その声明の全文は本記事の下部にある。

勇ましい主張だが、FTCからの訴訟はNVIDIAにとって大きな問題だ。同委員会が訴訟に踏み切るのは、企業が法律に違反していると見なした場合であり、しかも一定の譲歩では不十分な場合だ。しかも今回は、これよりも前の2021年10月に、買収に関する調査をEC(欧州委員会)が発動している。NVIDIAは、この買収を懸念している大国の規制当局からの疑問に直面しており、彼らはこのような答えで納得しないだろう。

現状では、NVIDIAの競合他社も満足していない。報道によると、QualcommはFTCなどとの対話でArmの取引に反対し、NVIDIAが設計のライセンスを拒否するかもしれない、という懸念を表明している。またAppleやMediaTek、Samsungなどの大物もArmに依存しているため、市場の残りの部分が賛成に回ることも考えづらい。少なくともこの裁判で、NVIDIAが最初2022年を目標とした組合の閉鎖が遅れることになりそうだ。

FTCプロセスの次のステップに進むにあたり、我々は、この取引が業界に利益をもたらし、競争を促進するものであることを示す努力を続けていきます。NVIDIAは、Armの研究開発に投資し、ロードマップを加速させ、競争を促進し、すべてのArmのライセンシーに多くの機会を与え、Armのエコシステムを拡大する方法で、Armの提供製品を拡大していきます。NVIDIAは、Armのオープンなライセンスモデルを維持し、現在および将来のすべてのライセンシーがそのIPを利用できるようにすることを約束します。

編集部注:この記事の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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