縮まりつつあるデジタル格差

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モバイルインターネットの普及によって、世界のデジタル格差に関する3つの重要なパーセンテージは以下通りとなった:94、48、28。いずれも驚異的な数字だ。

携帯電話は15年前には殆ど誰も予測できなかったほど急速に成長し、世界人口の少なくとも94%が信号を受信できる。すばらしいことに、途上国で携帯電話が軌道に乗り、固定電話を追い越したおかげで、モバイルインターネットがいっそう速く普及している。

インターネットを携帯ネットワークに追加するには、元のネットワークを構築するよりはるかに少ない投資で済むため、モバイルインターネットサービスは急速に広がり、現在少なくとも世界人口の48%をカバーしている。そしてわずか6~7年前にスタートを切ったにもかかわらず、現在世界人口の28%以上が利用契約を結んでいる。

こうした数字の隠には著しい地域差がもちろんある。アジア途上国では人口の99%に3G信号が届き、重複を含め103%が契約している。一方、サハラ以南のアフリカでは、人口の84%が携帯電波を受信可能であり、35%を3G信号がカバーしているが、利用契約しているのは未だに8%でしかない。

途上地域全体に共通するテーマは、インターネット利用環境の有無はもはや阻害要因ではないということだ ― それは常に普及率を上回っており、必要なら携帯通信ネットワーク全体をカバーするよう拡大することも比較的容易である。重要な疑問は、サービスを利用可能な潜在ユーザーがなぜ使っていないか、だ。

途上地域全体に共通するテーマは、インターネット利用環境の有無はもはや阻害要因ではないということだ ― それは常に普及率を上回っており、必要なら携帯通信ネットワーク全体をカバーするよう拡大することも比較的容易である。

答は2つの要素に分かれる。第一は、もちろん購入能力が重要課題であり、今も一部の国々でブロードバンド料金は平均月収の10%を越え、殆どの人々にとって手の届かないところにある。第二はしかし、関連性と有意性だ。現地語のコンテンツはあるのか?興味の対象か?利用価値はあるか?これらの質問の答がノーなら、インターネットを使う余裕のある人でも、その金を他のことに使うだろう。

モバイルインターネットは、コンテンツ開発に関する考え方を変えるだけでなく、オンラインでコンテンツをどのように消費し、創造するかも徐々に変化させている。ブラウザーで閲覧する代わりにアプリを使うようになり、われわれはスマート端末に内蔵されたあらゆる機能を容易に利用できるようになった ― 位置情報、ビデオ、環境センサー等々。アプリは、アプリストアを通じてコンテンツを販売するグローバルマーケットプレイスへの道も開き、さらにネット利用を促進するコンテンツの供給を増やしている。

残念ながら全部の国で全部のアプリストアを利用できるわけではなく、全部のアプリストアに全部のアプリがあるわけではない。

ではこうした地域が最後の障壁を越えインターネットをフル活用できるために、われわれは何をすればよいのか。

コストに関して、政府はインフラ整備にかかるコスト等接続に関わる障壁を除去し、特に普及率の低い効外地域では効率的帯域管理によって革新的利用を促進することで後押しできる。需要を抑制する、通信機器や端末、サービスにかかる税金は控除すべきだ。そして、地元でのコンテンツ配信を推進することによって、比較的高くつく海外アクセスを避け、コンテンツ利用のコストを下げることもできる。

モバイルインターネットは、コンテンツ開発に関する考え方を変えるだけでなく、オンラインでコンテンツをどのように消費し、創造するかも徐々に変化させている。

コンテンツを地元から配信することによって遅延が減り、その結果既存コンテンツの利用が増え有用度も高まる。利用可能なコンテンツの増加を促進するために、政府はコンテンツ作成を阻害する無意味な法規制をやめ、世界中のユーザー体験を均一にする力になるべきだ。

政府は独自のモバイルサービスを構築することによってコンテンツ作成を推進し、それを地元で配信しすれば、こうした活動を支援するための能力強化を促進できる。

アプリの利用が容易になることで契約や利用も増えるが、私はウェブアプリの利用を推奨したい。ウェブアプリなら、デベロッパーは高度な機能を用いたウェブサイトを作り、モバイル端末に既存アプリと似たアイコンとしてインストールできる。

デベロッパーはウェブアプリ1つで全プラットフォームをサポートできるようになり ― 消費者は今ブラウザーを乗り換えているのと同じように、プラットフォーム間を容易に移動できる ― 新たに参入したプラットフォームも対等に競争できる。

われわれは、デジタル格差を埋めるべくモバイルインターネットが既達成している驚異的数字を総合的に祝福すると共に、インターネットが誰もにもたらす希望と約束を実現するモバイルインターネットを、既存および新規ユーザーが亨受できるよう、残された課題の解決に尽力していかなければならない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。