現在世界で5億人が使用している言語学習アプリ「Duolingo」をご存知だろうか。5分程度の隙間時間で、ゲーム感覚で継続できるよう設計されており、大学1年生レベルまでの言語が学べるようになっている。グアテマラでは学校教育にも取り入れられ、オバマ前大統領やビル・ゲイツ氏も愛用者だそうだ。40種類の言語、100コースを揃えており、なんと「ゲーム・オブ・スローンズ」や「スタートレック」など、エンターテインメントに出てくる独特の言語も学ぶことができるという。
外国語は習得したいが勉強は避けたい日本
2020年に3500万ドル(約38億3000万円)を調達し、海外で知名度を広げているDuolingoだが、日本へは2020年11月に本格参入している。日本でのカントリー・マネジャーに就任した水谷翔氏は、ミクシィ新卒入社後、マーケティングに携わり、2020年8月より日本の第一号社員として参画し、2021年より韓国市場も担当している。
日本在住者男女15~69歳1200人を対象にした「全国英語学習のホンネ調査」では、日本人の70%が「英語に対して苦手意識がある」と回答。また英語に苦手意識があると回答した方の約半数が「中学校在学時」の時点で、すでに苦手意識を感じてしまっているという。
また、同調査では「英語を学習したい」人は80%近くいるが「実際に学習をしている」人は13%にとどまるという。学習環境が整っていない国とはまた違う視点となるが、「英語を習得したいが、勉強したくない層にリーチする」という意味では、日本はブルーオーシャンだと思っていると水谷氏は語る。
適切なマーケティングでDAU増加
そんな日本では、その特性に合わせたマーケティングにより、DAUの増加に成功しているという。2020年末には「ゴロゴロしながら、無料で英語学習ができる」というキャンペーンを実施。年末に来年の目標を立てる人は多いが、実際に年初から勉強する気はなかなか起こらないことから、ゴロゴロしながら勉強している感を得られるようにPRを行い、DAUが前年度比60%増となった。
日本人が関心があるのは英語だけではない。2021年2月には、対応言語に韓国語も追加された。日本の10代、20代における韓国への関心は強く、新型コロナで渡航自粛が続く中で「卒業旅行に行けない学生のみなさまへ…韓国語を学べるアプリDuolingoから『未来で行く卒業旅行券』プレゼントキャンペーン」を行い、 DAUが前年度比70%増になったという。
グローバルに働ける人を増やしたい
共同創業者CEOのLuis von Ahn(ルイス・フォン・アン)氏は「誰もが使える世界最高の教育を開発する、教育を通して経済格差を是正したい」を理念に掲げており、グローバルに英語教育を提供することを目指している。言語を習得した後には、仕事を得られるところまで支援することをネクストステップとして意識しているという。水谷氏も「言語を簡単に楽しく学べるアプリは、意外と今までなかったと感じており、言語を習得してグローバル活躍してくれる人が増えて欲しいと願っています」と語った。
今後は、言語コースの拡充によるユーザ増加を目指す他、既存の英語力テストの代わりとして米国ではすでに受験生の英語力判定に採用しているという「DET(デュオリンゴ・イングリッシュ・テスト)」の普及(オンラインかつ1時間受験可能)や、学校教材としての採用拡大等を検討しているという。
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