早くて安いフードデリバリーは、中国の多くの労働者の生活を変えるものとなっている。しかし、中には自分で食事を作るのを好む人もいる。そうした人たちは実在店舗で新鮮な食材を選ぶ時間がないかもしれない。そこで中国のスタートアップや大企業は、野菜や肉を玄関先まで届けて忙しい労働者が楽に自炊できるようにしようとしている。
EuromonitorとHua Chuang Securitiesが集めたデータによると、中国における昨年の生鮮食品売上は4兆9300億人民元(7300億ドル)で、2012年の3兆3700億人民元から着実に成長している。これらの売買のほとんどは生鮮市場やスーパーマーケットで行われていて、オンラインでの売買は2016年は全体の3%を占めるに過ぎず、成長の余地は大きく残されている。
eコマースのリーダー、AlibabaとJD.comはすでに総合オンラインショッピングモールに食品を加えている。これまでに14億ドルを調達した、TencentがサポートするMissFreshはこの分野に参入したばかりだ。そしてこの業界は、Meituanの新規参入でやや混み始めている。MeituanはTencentが支援しているフードデリバリーとホテル予約の大企業で、昨年、香港証券取引所を通じて42億ドルを調達した。
Meituanのオールインワンアプリとは別の、「Meituan Maicai」またはMeituan食品ショッピングという新しいアプリで利用できるこのサービスは、先週北京に進出する前に、今年1月上海で始まった。この動きは2018年中間決算で食品デリバリーに参入するという発表を受けたものだ。
玄関先まで食品を届けるためのMeituanのソリューションは同業他社のものとさほど変わらない。ヨーグルトから豚ロース肉まで1500もの食品の中から好きなものを選んでアプリのショッピングカートに入れ、携帯で決済をする、とMeituanはTechCrunchに説明した。注文を受けるとMeituanはわずか30分以内に配送を開始する。
この素早い配達は、倉庫管理、梱包、配達を目的とする「サービス・ステーション」のサテライトを地域のあちこちに設けることで実現している。またオフラインハブを設けることで、データを駆使しているこのインターネット企業は周辺に住むユーザーの好みに基づいて倉庫のストックを最適化する。例えば、高所得者向けの住宅地域に住む人たちが食べたり購入したりするものは、おそらく他のエリアに住む人のものと異なる。
Meituanの食品ショッピング業界への参入は、中国人の食のあり方のコントロールをめぐるAlibabaとのバトルをさらに激しいものにしている。AlibabaのHemaスーパーマーケットは、半径3キロ以内への30分配達を実現するためにローカルの店を倉庫・フルフィルメントセンターとして使うという、同じような手法で展開されている。何年もの間、Meituanのフードデリバリー部隊は、Alibabaが昨年出資したEle.meと互角の争いを展開してきた。そして最近ではAlibabaとMeituanは、客の分析と利用増加を図れる独自のソフトウェアに登録するよう、レストランオーナーの囲い込み競争を繰り広げている。
「なんでも」アプリになるという最終ゴールの一環として、Meituanは新規株式公開の前振で多くの新たな試みを行なってきたが、それらをすぐに保留にもした。昨年4月、バイクシェアリングのMobikeを買収したが、1年もたたずして経費節約のためにアジア全体の事業から撤退した。Meituanはまた、多くの懸念を抱える配車事業の拡大も見合わせている。
しかしグローサリー配達、Meituanの言葉でいえば食ビジネスは、Meituanの意中にある。この事業を行うためにMeituanは既存のインフラの活用を始めている。たとえば、ピーク時間帯に食品配達をするために同社のフードデリバリーのドライバーを呼び出すというものだ。Meituanが昨年の決算報告で言及したように、食品部門は巨大なユーザーベースと、すでにある世界最大のオンデマンドデリバリーネットワークを抱える都市をテコ入れできるかもしれない。
Image Credits: Aleksandar Mijatovic / Shutterstock
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(翻訳:Mizoguchi)