予想外の大ヒットを記録したアプリPeak(楽しみながら認知能力を高めるサブスクリプションベースのゲームアプリ)の開発元が、株式の過半数をフランスの出版社Hachette Livreへ売却した。ロンドンを拠点とするBrainbowが開発したPeakは、これまでに1500万以上のダウンロード数を記録しており、2014年にはAppleによってベストアプリに選ばれたほか、Google Play上では2015、2016年のベスト自己啓発アプリに選出された(さらにEuropasのアワードも受賞)。
Brainbowは、株式売却に関するMedium上のポストでも売却額については触れていないものの、Brainbowおよび同社のサービスであるPeakは独立した形で残り、Hachetteに全てが吸収されてしまうわけではない。
Peakは主要な市場で黒字を記録していたことが分かっており、これが売却の目玉になっていたのは明らかだ。というのも、本の出版に比べてデジタルゲームの方がよっぽど儲かるビジネスなのだ。
電子書籍事業が低迷する中Brainbowの買収を決断したことから、Hachetteはデジタル分野でビジネスが伸びていることをアピールしたいと考えているはずだ。また、Peakのサブスクリプションモデルも、Hachetteにとっての魅力であったことは間違いない。
さらに、成功をおさめたゲームの開発元が出版社に身売りするようになったということが、ヨーロッパにおけるシリーズB資金調達の難しさを物語っている。実はBrainbowはシリーズBのタームシート取得まで進んでいたが、Hachetteとの契約条件の方がよかったために、今回の結論に至ったのだろう。
Brainbowは、Itamar Lesuisse、Sagi Shorrer、Gerald Goldstein、Xavier Louisの4人によって2012年の終わりに設立された。
「私たちは、Hachette Livreグループに加わることを大変嬉しく思っていますし、特に彼らのグローバルな流通網やコンテンツとのシナジーを活用していくのを楽しみにしています。今回の合併によって、数々の賞を受賞したPeakや、今後開発されることになる新たなプロダクトがもっと効率的に世界中へ広がることになると思っています」と彼らは話す。
Hachette LivreのCEO兼会長のArnaud Nourryは「Hachette UKが2016年6月にNeon Playを買収した後、Hachette Livreのモバイル戦略の次の一歩としてBrainbowの買収を考えていました。才能溢れる専門家である共同ファウンダーの4人は、Hachette Livreに新たな力をもたらしてくれることでしょう。彼らを私たちのグループに迎えることができ、大変光栄です」と話す。
Lagardère SCAの100%子会社であるHachette Livreは、一般・教育書籍の市場における世界第3位の出版社で、2015年の売上額は22億600万ユーロだった。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)