脳波や睡眠の状況を把握して、目覚ましをインテリジェント化する「Zizz」

TechCrunch Disrupt SF 2013にて、ワルシャワ発のIQ Intelclinicというスタートアップがプロダクトを発表していた。

発表していたのはインテリジェントな睡眠マスクだ。センサーを使ってREM睡眠とノンREM睡眠の別などを検知して利用者の睡眠サイクルを記録する。そして快適な睡眠を得るためのサポートをしようとするものだ。

マスクに搭載されている電子部品は、粘弾性発泡体と呼ばれる柔らかなクッション素材によって覆われており、それを頭部に密着させてデータを取得する。収集したデータはモバイルアプリケーションに送られ、睡眠あるいは目覚めた時の様子を確認することができる。そして、たとえば睡眠時無呼吸症候群などの兆候が見られないかどうかを確認することもできる。

「3つのデータを収集するための電極を備えています。収集するのは脳波、目の動き、そして筋肉の緊張具合です」と、ポーランドのメディカルスクールを卒業した、共同ファウンダーのKamil Adamczykは説明する。マスクで収集したデータは増幅器に送られ、そしてナレッジベースを活用した分析を行う。分析したデータはBluetooth経由で利用者のスマートフォンに送られる。IQ Intelclinicの別の共同ファウンダーであるKrzysztof Chojnowskiはエレクトロニクス分野でのPh.D.で、おかげでデバイスで用いる電子デバイスなどもすべて内製することができた。

大学で知り合った共同ファウンダーの2人が、本プロダクトの製品化に取り組み始めたのは今年の3月のことだった。Adamczykはメディカルスクール時代にあまり眠ることができず、その経験からより良い睡眠を得るためのプロダクトを作ろうと思い立ったのだそうだ。「時間的に短くても、効率的な睡眠を得ることができるようにするためのプロダクトを作ろうと思ったのです」と述べている。そうした研究やプロダクトのおかげで、今では夜に3時間、そして日中に短い昼寝をするだけで十分な睡眠を確保しているのだそうだ。

また、このプロダクトはREM睡眠とノンREM睡眠を識別できるので、スリープサイクルが完了したときにのみ朝のアラームを鳴らすということができる。これを行うには、アラームで「許容時間幅」(バッファー)を設定する。すると希望時間の前後、身体のリズムが最適となったときに目覚ましを鳴らしてくれるようになるわけだ。普通のめざましのようにセットした時間ぴったりに鳴るのではなく、身体の調子を見極めて起こしてくれるようになるのだ。

普通の朝の目覚ましとしてのみではなく、時差ボケ解消のためにも便利に利用することができるだろう。ないしはパワーナップ(短時間の睡眠)を取って多相睡眠(訳注:眠りを一度にまとめるのではなく、何度かにわけてとるようにすること)を実現するのにも便利だ。

TechCrunch DisruptのStartup Alleyにてプロトタイプを展示していた。そのプロトタイプでは電池式になっていたが、これをmicroUSB充電としてKicksterterに登録する予定だ。これまでにIQ Intelclinicは、地元のエンジェルよりアメリカドル換算で6万5000ドルの出資をうけている。プロダクトの製造販売を実現するために、クラウドファンディング経由で10万ドルを集めたいと考えているのだそうだ。プロダクトの名前は「Zizz」で各区は225ドルを予定している。KickstarterにあるEarly Backer(早期支援)に応募してくれる人には、180ドルで頒布するとしている。Adamczykは、IQ Intelclinicのプロダクトを通じて、さまざまな睡眠障害を発見するきっかけになればと語っている。但し、そうした方面に向けたデバイスを販売するにはFDAの認可が必要となるが、まだその認可は取得していないようだ。

詳細な情報を確認したい方はこちらにIQ Intelclinicのホームページがある。こちらから出資予約を行うこともできるようになっている。

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(翻訳:Maeda, H)