自動車の遠隔起動制御技術を活用したプラットフォームサービスを提供するGlobal Mobility Service(以下GMS)は4月20日、ソフトバンク、住友商事、デンソー、クレディセゾン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、SBI インベストメントなど(非公表の事業会社含む)から総額約7億円の資金調達を実施したことをあきらかにした。なお同社は2015年8月にもSBI インベストメントから3億円の資金を調達している。
GMSは「自動車金融」の切り口から、今まで与信審査がネックになり自動車を購入できなった人たちの課題解決に取り組んでいるスタートアップだ。
独自で開発した車載IoTデバイス「MCCS」では自動車を遠隔から起動制御することが可能で、自動車ローンの支払いが延滞しているドライバーの自動車を止めてしまうことができる。これにより、従来のオートローンやリースの仕組みでは与信審査を通過できず、自動車を入手できない人たち(世界には約20億人ほど存在しているという)がローンを利用できる仕組みを構築した。
この仕組みはドライバーにとってだけでなく金融機関や自動車メーカーにとっても大きな価値がある。アジアではこの層の人口が大きいため企業としては何とか開拓していきたい思いはある一方で、料金を払わずに自動車を使用し続ける人がいるなどの問題があった。
GMSが提供するサービスを使えば、ボーダーラインの人たちにまずは自動車を提供し、支払わなければ止めるということができるため与信のスピードや工数も大幅にカットしながら、顧客を増やすことも見込めるだろう。
同社は自動車メーカー・ゼロスポーツの創業者である中島徳至氏が2013年に設立したスタートアップ。2年前からフィリピンで事業を開始しており、今後は日本やインドネシア、タイなどASEAN各国でサービスを展開していく。
【4月20日16時30分追記】代表取締役の中島氏よりコメントが得られた。
「フィリピンではMCCSをつけた三輪タクシーを供給しているが、デフォルトも起こっておらず、自社の技術やサービスが課題解決に通用すると手応えを感じている。今後はタイやインドネシアなど地域を広げることに加え、農機や建機、トラックなど商業車にも対象を広げていく。特に新興国では車をベースに経済活動をする人が多く、車に乗りたい人も多いのに、与信審査がネックとなって機会を損失しているという現状がある。金融機関と連携しながら困っている消費者や企業の課題解決につとめたい。」