ゼネラルモーターズ(GM)の工場労働者によるストライキは3週目に突入し、同社の第3四半期決算に10億ドル(約1077億円)以上の損失を与えていると、J.P.Morgan(JPモルガン)のアナリスト、Ryan Brickman(ライアン・ブリックマン)氏が伝えた。
そしてその損失は、週を追うごとに増え続けている。GMはストライキの最初の週に約4.8億ドルを失い、翌週には5.75億ドルを失ったとブリックマン氏は語っている。GMは北米における潜在売上を1日あたり約8200万ドルずつ失っている。
9月16日に全米自動車労働組合(UAW)がストライキを開始して以来、生産停止の影響は同社の全世界事業に波及効果を及ぼしている。米国時間10月1日にAP通信は、GMがメキシコ・シラオのピックアップトラックおよびトランスミッション工場を閉鎖し、現地の労働者6000名に影響を与えたと報じた。さらにGMは、メキシコのエンジン工場とカナダの組立工場もストライキの影響により閉鎖せざるを得なかった。
「GMの米国内生産は9月16日にUAWが仕事を放棄した直後に停止し、カナダとメキシコの工場は1週目から徐々に影響を受け始めた」とブリックマン氏は書いている。
今週、投資銀行であるJefferies Group(ジェフェリーズ・グループ)のアナリスト・Philippe Houchois(フィリップ・ホーチョイス)氏も、ストライキはGMの行う投資にも制約を与える可能性があることを指摘した。
給与、福祉手当、一時労働者の待遇などがストライキの主要な推進力だが、メーカーの電気自動車へのシフトに対する不安も要因のひとつだ。GMを始めとする自動車業界は、電気自動車開発に資金を集中させている。しかしこの変化は労働者にも影響を及ぼしている。電気自動車は必要な部品が少なく、製造が容易だからだ。UAWは、ガソリンから電気へのシフトは今後数年間に3万5000人の失業者を生む可能性があると推定していると、CNBCが最近報じた組合の調査結果が示している。
昨年11月、GMのCEO兼チェアマンであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、北米で1万4000人以上の人員を削減し、工場の閉鎖や一部車種を廃止して高収益のSUV、クロスオーバーおよびトラックに集中し、電気自動車や自動運転車など将来の製品へに投資するなどの計画を発表した。
一連の行動は、予想される米国市場の沈滞から会社を守り、年間フリーキャッシュフローを約60億ドル増やすことを目的としていた。しかし、同時に労働者の不満と懸念をもたらすことになった。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )