家電をインターネットに接続することで“スマート化”できるIoTプロダクト「Nature Remo」。同製品の開発元であるNatureは2月19日、大和企業投資を引受先とする第三者割当増資により1億円を調達したことを明らかにした。
同社は代表取締役の塩出晴海氏がハーバード大学のMBA課程在籍中に立ち上げた、ハーバード大発ベンチャーだ。2016年5月にクラウドファンディングサイトKickstarterでNature Remoを発表。その後MakuakeやIndiegogoでもプロジェクトを開設し、総額2000万円以上を集めた。
2017年8月にも一度紹介したが、Nature Remoの特徴は普段使用している家電製品をスマートにできること。WiFiや赤外線の送受信機能に加えて、人感、温度、湿度、照度などのセンサーを備えている。
スマートフォンアプリとのペアリングおよびWiFi設定、リモコンの学習(Nature Remoに向けて赤外線リモコンを発信し、信号を認識させる)といった設定をすれば、アプリ経由でリモコンの操作が可能になる。帰宅前にアプリで室内の温度を確認してエアコンの電源を入れたり、出先で消し忘れたテレビを消すなんてことが可能。スマートフォンのGPSを使って、特定エリアに入る・出るタイミングで家電の電源を操作するといったこともできる。
また、強力なのが「IFTTT」を経由したスマートスピーカーとの連携だ。IFTTTはさまざまなウェブサービス同士を繋げることができるサービス。このIFTTTを利用することで、例えばスマートスピーカーの「Google Home」や「Amazon Echo」など(厳密にはこれらのスピーカーで利用できるAIアシスタント)を経由してNature Remoの機能を利用することができる。
設定には一手間かかるが、例えば「OK Google、暖房を付けて」とGoogle Homeに話しかければ、普通の家電(赤外線リモコンで操作するという意味で)だってスピーカーを通じて操作することが可能になる。2018年に入ってからAPIも公開。Nature Remoを使った様々なサービスの構築もできるようになった。
クラウドファンディングサイトだけでなく、2017年10月からは正式発売を開始。ただスマートスピーカーの日本上陸と重なったこともあり、塩出氏によると「直近まではバックオーダーがたまり、品薄状態になっていた」という。
現在はそれにあわせて家電量販店(ビックカメラ、コジマ)やAmazonでの販売も開始。今回調達した資金をもとに、開発・製造体制を強化し、プロダクトの改良を進める。
今後は「インターネットとセンサー技術を活用しエネルギーを自給自足できる未来をつくる」というビジョンのもと、まずはエアコンのIoT化により電力使用の最適化を目指す方針。昨年に続き関西電力とのバーチャルパワープラントの実証事業に参画し、電力関連事業でのアライアンスの実現に向けて取り組むという。