自律型潜水艦が南極海の氷の下で1年間にわたる調査を行っている

南極海の氷棚の下にある氷水や、氷塊の下面自体は科学者にとって大いなる興味の対象である…だがそこに好んで赴きたい者がいるだろうか?ロボットに任せよう。彼らは文句を言うことはない!そして実際に、ほぼ1年にわたって複数の自律型潜水艦が氷のまわりを調査していて、これまでに他の探検が見出したことのないデータを発見しているのだ。

ミッションは故ポールアレンからの助成金によって、2017年に始められた。世界中の海氷に気候変動が影響しているために、これらの氷結気候の正確な測定と研究はこれまで以上に重要になっている。そして幸いなことに、ロボット探査技術は、氷棚の下や周囲での長期的な任務が可能になる位までにレベルに達している。

このプロジェクトでは、Seagliderという名の実績のある自律型航行船を使用している。この船はしばらく前から存在していたが、暗く隔絶された環境で長期間のオペレーションを実行できるように再デザインされたのだ。この船の開発者の1人であるUWのChris Leeは、このミッションに関して「これは、ロボット技術を危険性の高い海洋環境で利用するための、リスクの高い概念実証実験なのです」と述べている。

プロジェクトの最新情報が示すように、リスクに踏み出した価値はあったようだ。改造された潜水艦は1年にわたり何百マイルもの自律的な航行を行ってきた。

多くの理由で、南極沿岸に長期間滞在することは容易ではない。しかし、1〜2ヶ月の間、人間はどこか他の場所でリラックスしながら、ロボットに働かせることは確実に可能である。

Leeは本日リリースされたUWのニュースで「1年以上にわたって、連続した活動を維持できたのは今回が始めてです」と語った。「Seagliderたちは、氷の空洞の内部を調査するために意のままにナビゲートすることができました…近代的な長期耐用プラットフォームが、氷棚の下で継続的な測定を行ったのはこれが初めてのことなのです」。

下の図では、ロボットプラットフォームが氷の端を探索しながら、長く複雑な経路をとつつ氷の下に潜っていく道筋を見ることができる。

彼らはケーブルで固定された一対の水中音響ビーコンを使って、自分自身の位置をモニターすることによって、暗闇の中を航行する。青い点は、自然の流れに乗って、ほとんどまたはまったく電力を使わずに長距離を移動するフロートだ。どちらも頭上の氷の形、水温、その他の興味深いデータをモニターするためのセンサーを備えている。

これは、氷棚の下で初めて長距離の遠征を行ったロボット探検ではないが、間違いなく最も長期間のものであり、かつ最も実り多いものだと思われる。Seaglidersたちは、長期任務のために、より小さく、より軽く、そしてよりよい装備を搭載している。1台は、1回の出動で87マイル(約140キロ)を航行した!

ミッションは継続中で、最初の3台のSeaglidersのうち2台はまだ運用可能であり、作業を継続できる。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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