空港やショッピングモールなど複雑な構造をした施設の中では、なかなか目的の場所にたどり着けないことがある。Googleは3Dセンサーを搭載したスマートフォンを使って、GPSでは測定しきれない場所でもナビゲーション機能を使えるようにしようとしているが、それ以外の解決策になり得るのがビーコンだ。施設のいたるところにビーコンを設置すれば、スマートフォンがその信号を拾って現在地を特定できるようになるので、ユーザーはスムーズに目的地へ向かうことができる。
イギリスで2番目に利用者数の多いガトウィック空港は、数年間にわたる改革プログラムの一環として、この度ビーコンを使った屋内ナビゲーションシステムの導入を決めた。
ふたつのターミナルには、既に合計約2000個のバッテリー駆動のビーコンが設置されており、今後地図アプリを開くとより正確に現在地が表示されるようになる。さらにこのビーコンはARナビゲーションツール(冒頭の写真)にも利用される予定で、ユーザーはスマートフォンのスクリーン上に表示される矢印に従って進むだけで目的地にたどり着けるようになる。なお、このシステムではユーザーの現在地を誤差3m以内で特定できるとされている。
また、ガトウィック空港は自分たちのアプリだけでなく、各航空会社のアプリやサービスとも屋内ナビゲーションシステムを連携させようとしている。もしもこれが実現すれば、航空会社は搭乗口に現れない乗客に通知を送ったり、位置情報をもとにその人の荷物をおろすかどうかといったことを決めたりできるようになる。
空港内の小売店やテナントもこのシステムを使うことで、ユーザーが店舗の近くにきた際にマーケティングメッセージや割引情報を送れるようになる(少なくとも通知を受け取るよう設定しているユーザーに対しては)。
なお、ガトウィック空港はビーコン経由で利用者の個人情報を集めることはないが、列の長さを見たり、混雑を解消するために人の流れをコントロールしたりといった運営上の理由で「エリア別の人の密度」に関する情報は集める予定だと話している。
システムの開発にあたり、ガトウィック空港はイギリスのスタートアップPointrの協力を仰いだ。ソフトの開発やシステムの保守以外にも、Pointrは3D ARナビゲーションをサポートしたSDKをサードパーティに提供していく予定だ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)