英フィンテックInvstrが21.8億円を追加調達、ライバルRobinhoodとの競合戦線が激化

投資アプリに対する最大の不満は、ユーザーを適切に指導せず自力で何とかさせようとする無責任な態度だ。その結果多くの人々がお金を失っていることは、Robinhoodを(ロビンフッド)相手取った訴訟が数多くあることが証明している。

現地時間3月18日、これまで8年間金融教育「だけ」に焦点を当ててきた企業が、証券取引と銀行サービスを米国で開始した。

英国・ロンドン拠点のInvstrは、教育プラットフォームを何年にもわたって運営し、投資アカデミーなどのサービス提供してきた。同社が作ったFanatsy Finance(ファンタジー・ファイナンス)ゲームは、ユーザーが100万ドル(約1億1000万円)の架空ポートフォリオを管理して、実際に自分のお金をリスクに晒す前に市場について学ぶことができる。ソーシャルゲーム化することで、Invstrは学習プロセスを楽しみに変えようとした。

さらに同社はコミュニティを作ってユーザーが互いに学びあえるようにしている(別のRobinhood競合であるGatsbyも行っている)。

これまでに全世界で100万人以上のユーザーがInvstrをダウンロードした。

CEOでファウンダーのKerimDerhalli(ケリム・デルハリ)氏によると、Invstrは教育・学習ツールを前面に出すことでライバルとは異なるアプローチをとっている。また、ユーザーに手数料無料の株取引サービスを提供するだけでなく、Invstr+口座を使うことでデジタルバンキングと投資を1カ所で行えるので「お金をあちこち移動する必要がない」。

Invstrは、サブスクライバー向けサービスをさらに一歩進めて、実績データと行動分析などを示す「Invstr Score」を提供している。

会社をこの方向に進めることは、設立当時から彼のビジネスプランの一部だった、とデルハリ氏はいう。

「米国で最も強力なトレンドは、自律志向型投資だと思っています」とデルハリ氏がTechCrunchに語った。「若い世代はアプリの世界で育ち、アプリが自動的に何でも自分のためにやってくれることを期待しています。若者の多くがバンキングシステムを信用しておらず、親のバンキングや金融のやり方を真似たくないと思っています。これは巨大なチャンスだと私たちは思いました」。

新サービスの提供にあたり、3月17日にInvstrは、2000万ドル(約21億8000万円)のシリーズAラウンドを転換社債形式で完了したことを発表した。これまで2度のシードラウンドで計2000万ドルを調達しており、Ventura Capital、Finberg、ヨーロッパのエンジェル投資家であるJari Ovaskainen(ヤリ・オヴァスカイネン)氏、元MastercardのグローバルチェアマンであるRick Haythornthwaite(リチャード・ヘイソーンスウェイト)氏らが出資した。

デルハリ氏は、知識と自信がないために投資を始められない人を間近に見てきたことで、Invstrを設立することを決意したと語った。同氏は30年にわたり、ドイツ銀行、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、JPモーガンなどの上級幹部を務めた後、「誰でも、どこででも、投資のやり方を学べるように」Invstrを設立した。

Invstrは、新たな投資サービスをApex Clearingとの提携によって提供している。かつて約定・決済サービスをRobinhoodに提供していた企業だ。デジタルバンキングサービスはVast Bankとの提携による。セキュリティ面を強化するために、InvstrはユーザーデータがOktaのテクノロジーによって保護されていると語った。

同社はニューヨークとイスタンブールにもオフィスがあり、新たな資金を元に新たな仲介・分析ツールとポートフォリオビルダーを開発する予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Invstr資金調達

画像クレジット:Somyot Techapuwapat / EyeEm / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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