中国Pinduoduoが年間アクティブユーザー数7.88億人でアリババの王座を奪取

史上初、Pinduoduo(拼多多、ピンデュオデュオ)がAlibaba(阿里巴巴、アリババ)を年間アクティブユーザー数で抜き、中国eコマースの新興企業は5年間で華々しい成長を遂げた。

この節目は、Pinduoduoが中国の発展途上の低層都市のユーザー向けである、という当初の偏見を乗り越えた証でもある。Pinduoduoは、中間業社を排除して低価格の果物と乳製品を販売することで名を成したが、徐々に多様化を進め、大幅割引のiPhoneなど全方位の商品を扱うようになった。

同社は2018年にNASDAQに上場し、Tencent(テンセント)が主要株主・パートナーとなっている。2020年年間アクティブユーザー7億8800万人を記録したことが、発表されたばかりの第4四半期決算でわかった。同年のAlibabaのアクティブユーザーはわずかに少ない7億7900万人だった。

しかし月間アクティブユーザー(MAU)では、Alibabaが2020年12月に9億200万人と大きくリードしている。同月PinduoduoのMAUは7億7200万人だった。

中国サイバースペース最高権威のレポートによると、どちらの企業にもまだ成長の余地があり、中国には2020年現在9億8900万人のインターネットユーザーがいる。

21年前に創業したAlibabaは、売上でPinduoduoを大きく引き離しており、その理由の一部は取引高の多さと盛況なクラウドコンピューティングビジネスにある。Alibabaは12月末締四半期で、2210億人民元(約3兆7080億円)の売上を計上し、対するPinduoduoは2655億人民元(約4兆4540億円)だった。

農産物は今もPinduoduoの中心で、同社は元GoogleのColin Huang(黄峥、コリン・ホアン)氏が設立した。現在ホアン氏は会長に退き、将来同社の「農業プラットフォーム」を成長させる鍵となると彼が信じる食料とライフサイエンスの研究に時間を割いている。

Pinduoduoは、農作物を農家から都会の消費者へと運びたいだけではない。ここ数年、同社はアグリテック(農業テクノロジー)に打ち込んでおり、AI利用農家を促進し、農業従事者が知識を持ったオンラインベンダーになるための教育も行っている。これらの戦略は、中国地方経済を押し上げようとする政府の方針とも一致しており、数億人の生活に影響を及ぼす。

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このeコマース新興企業には大きな目標がある。2025年までに年間1450億ドル(約15兆8000億円)の農作物を販売することだ。どうやら順調に向かっているようだ。eコマース取引の指標である同社の2020年総取引高は2700億人民元(4150億ドル)以上だった。同社のマーケットプレイスでは1200万の農家が直接消費者に販売している。

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「Pinduoduoは農業製品から始まりました」と現在の会長兼CEOであるChen Lei(チェン・レイ)氏が声明で語った。「いつかPinduoduoが世界最大の食料品店になることを願っています」。

Pinduoduoで売られている果物を試してみるコストは比較的低いため、食料品販売は、電子機器ほど利益が大きくないがユーザー獲得の方法として効果的かもしれない。

農業ドリームを追求している同社だが、まだ利益が出るまでには至っていない。Pinduoduoの純損失は四半期で13億8000万人民元(約230億円)まで減少した。2019年の同時期は17億5000万人民元(約290億円)の損失だった。

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タグ:Pinduoduo中国eコマース農業

画像クレジット:A strawberry grower on Pinduoduo

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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