英国の国民保険サービスが6500万円の資金提供をかけた新型コロナ技術コンペを開催

英国の国民保険サービス(NHS)のイノベーション推進機関であるNHSXは、この新型コロナウイルスのアウトブレイクの間、デジタル技術で人々を支えられるプロジェクトを提案したイノベーターやスタートアップに50万ポンド(約6500万円)を出資するコンペを実施する。この資金は、メンタル面のサポートや公的介護を必要とする人々、さらに長期間の自宅待機によって大きな影響を受ける人々への支援活動に集中的に提供される。

Techforce19(テックフォース19)と題されたことのコンペはNHSXが主催し、GovTech(ガブテック)系ベンチャー企業PUBLIC(パブリック)によって運営される。両者とも、このコンテストからは一切報酬を受け取らないという。

申し込み期限は4月1日午後12時まで。入選プロジェクトは4月3日に発表される。資金は、ひとつの団体につき2万5000ポンド(約330万円)まで。数週間以内にそのソリューションを大規模に展開できることが条件だ。次のようなプロジェクトが求められている。

  • 遠隔介護の提供。例えば、有資格の介護士と介護を必要とする人たちの位置からマッチングを行い、介護施設へ管理とケアを提供する。
  • 介護とボランティアの最適化。たとえば、人材募集、訓練、地域のボランティアを医療ワーカーと非医療ワーカーに選別するためのツールを開発する。または、国中の医療ワーカーとケアワーカーの需要を予測し、人材の派遣と管理を改善するためのツールを開発する。
  • メンタルヘルスの支援を改善。たとえば、メンタルヘルスのためのサービスや支援を探しやすくする。または、メンタルヘルスと心の健康を自己管理できるツールを開発する。
  • その他、この時期にサービス提供者の負担を軽減し、人々の不安を解消できるもの。

英保健大臣のMatt Hancock(マット・ハンコック)氏は、この資金提供についてこう話している。「家に留まり他人との接触を避けることが、このウイルスの感染拡大を低減するためにはぜひとも必要なことであり、結果的に命を守ることになります。しかし隔離は、特に高齢者、独居者、メンタルな問題を抱えている人、誰かを介護している人にとって容易なことではありません。家から出られない人のために、我々は今すぐにでも彼らを助ける方法を見つけなければなりません。そこで本日、私はこの国の強力な革新的テクノロジー分野のみなさんに、その挑戦を受けて頂くよう呼びかけます」。

NHSX長官Matthew Gould(マシュー・ゴールド)氏はこう話している。「テクノロジーは、新型コロナウイルスが引き起こす難題に対処する国家の取り組みにおいて、重要な役割を果たします。このコンペでは、隔離がもたらす問題のうち、デジタル技術で解決できそうなものに焦点が絞られています。これを通じてNHSXは、孤独やメンタル、その他の問題に苦しむ隔離被害者を数週間以内に救済できるよう、解決策の開発を加速化させます」。

英政府は、国内のすべての人たち、とりわけ70歳以上の高齢者、基礎疾患を持つ人、妊婦に対して、ウイルスの拡散を最小限に抑えるために他人との接触を避けるよう強く勧めている。癌患者など、ウイルスによって重大な影響が出る恐れのある人たちは、ウイルスから自らの身を「遮蔽」するために、12週間の自宅待機が求められている。

PUBLICのCEOを務めるDaniel Korski(ダニエル・コースキー)氏はこう話している。「新型コロナウイルスの拡大は、英国人の生活を突如として一変させました。私たちの多くは日常の行動が制限され、他人との接触を避けるために自宅勤務をしています。とくに社会的弱者の場合、社会からの隔絶と孤立には大きな代償が伴います。TechForce19が、今いちばん助けを必要としている人たちを救うための、いち早く展開できる技術の発掘に向けた有意義な一歩になることを期待しています」。

画像クレジット:Scar1984 / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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