英国王立天文学会が金星の大気に生命の存在を示す気体を検知

英国時間9月14日に開かれた英国王立天文学会の記者会見で、革命的な科学的発見が発表された。彼らは金星の大気中に、生命の存在を示唆する物質であるホスフィンを検知した。ホスフィンは、生命の痕跡として知られる気体であり、なんらかの生命が存在する場所にしか存在しない(Sci-News.com記事)。しかも、少なくとも地球上では、その気体が誤検出された既知の例はない。つまり、生命の存在結果ではないホスフィンが誤って検出されることはないのだ。

今回の発見は、報道機関や観測筋がどう話をひねろうとも、地球外生命体が確実に存在する証にはならない。この発見に参加した学者たちはみな同様に認めているが、ホスフィンの作用に関する我々の認識、特に地球外環境での知識が限られているために生じたケースである可能性も指摘している。2019年、ホスフィンは嫌気生物によってのみ生成されるとの判断が科学者たちによって示されたが、彼らの研究はこの地球上に存在するホスフィンに限定されていることは明らかだ。それをそのまま、銀河系全体に潜在する事例に当てはめることはできない。また、実際に地球外生命体が直接観察、確認されない限り、それが確かに存在するとはいい切れない。さらに、検出された気体が本当にホスフィンなのかを検証する必要もある。例えば二酸化硫黄と間違えている恐れも、わずかながら存在する。ただ、科学者たちはその観測結果をいくつもの観測所で確認しているため、それが実際にホスフィンであるとの強い確証を得ている。

とはいえ、どれだけの量のホスフィンがあれば検出可能なのか、さらに重要なこととして、この発見が我々の銀河系の中で局所的に検出されたという点を考えれば、これが地球外に生命が存在する可能性を示す最も有望な証拠であることは確かだ。この金星の大気中に生命が存在している可能性があるということは、これまで多くの人が考えてきたよりも生命とはずっと一般的なものであり、銀河系全体に広がっていることを示す強力な指標となり得る。

従来の認識では、金星は生命の存在はとうてい期待できない場所とされてきた。地表温度は摂氏約480度にも達する。しかし大気圏上部なら、(金星に浮かぶ雲の中に見られる紫外線を吸収するスポットの説明としてこれまで有力だった群生する藻類ではなく)嫌気性微生物の生息を支える条件が期待できる。

もし、金星上空の雲の中に生息する微生物の存在を確認しようとするならば、いくつもの難題に直面することになる。技術的な問題ばかりではない。倫理的な心配もある。惑星上空の雲の成分を採取するとき、そこに暮らす現地特有の生物の生活環境をかき乱し、悪影響を与えてしまう恐れがあるからだ。科学者たちは、地球外環境を地球の微生物で汚染してしまわないよう、細心の注意を払っている。多くの議論を重ね、きわめて慎重な採取方法または観察方法を導き出すことも重要になるだろう。

カテゴリー:宇宙

タグ:金星 英国王立天文学会

画像クレジット:SCIEPRO / Getty Images

原文へ

(翻訳:金井哲夫)