英語版TechCrunchがニュース配信ボットをMessengerで出したので使ってみた

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本家英語版TechCrunchは本日、Facebook Messengerでパーソナライズしたニュースを届けるボットをローンチしたと発表した。先日Facebookが開催したF8開発者カンファレンスでチャットボットのプラットフォームを発表し、他にもKik、Telegramなどのチャットアプリがボットプラットフォームもローンチしている。チャットボットが次の主要なユーザーインターフェイスとして注目を集めている。本家TechCrunchは早くもFacebook Messengerのボットを製作したので、TechCrunch Japanではこのチャットボットのニュース配信における可能性を探るために実際に試してみることにした(残念ながらTechCrunch Japanではまだチャットボットには対応していないので、以下のレビューは英語版TechCrunchのチャットボットについてである)。

まず使い方だが、FacebookのTechCrunchのページ、あるいはMessengerから直接TechCrunchボットとやりとりを開始することができる。米国版TechCrunchのトップページにもFacebook MessengerのMessage Us(メッセージはこちらから)ボタンが新設されている。

message us

英語版TechCrunchトップページ。検索ボックスの隣にFacebook Messengerのアイコンがある。

TechCrunchのボットには2つ機能があり、1つは掲載している記事を決まった時間にMessengerに配信する機能だ。「Menu」と入力すると、ボットによるレコメンド記事、人気記事、最新記事を配信するようにサブスクライブすることができる。各項目の「Show Stories」をタップすると該当する記事をその場でいくつか提示する。これには記事画像、タイトルとほんの少しだけ詳細が表示される。記事を読むにはウェブで閲覧(View on Web)か「Read Here」をタップでFacebook Messenger内で読むことができる。

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「Read Here」だと記事を吹き出しに表示するのだが、読みづらく感じた。吹き出しの幅が狭くて、行を追うのが目に負担だからだ。それに1回の吹き出しに300文字程度しか入らないため、記事の全文を読むのに何回も「Next Page」をタップして記事の続きを表示させなければならない。また画像も表示されないので物足りなさを感じる。

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「View on Web」をタップするとMessengerのアプリ内で記事が読めるが、普段TechCrunchの記事をモバイルブラウザで読んでいるなら、記事への入り口が違うだけであまり違いは感じられない(FacebookにとってはMessengerアプリ内から離脱しないことが大事なのだろうが)。

ボットの2つ目の機能は、簡単な質問に答える機能だ。例えば、「Who is Arianna Huffington?(アリアナ・ハフィントンは誰?)」と入力すると短い説明と関連記事も表示する。ただ、あまり複雑な文章は理解できないようで、今年のWWDCはいつ?と聞いてみたが、SiriのようにAppleの開発者カンファレンスの日程を直接答えることはできなかった。

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ボットは企業名やプロダクト名などを入れるとその関連記事を検索して表示する。「Tesla」を入力すると関連記事を提示する。もちろん、ブラウザでTechCrunch.comに行って、検索ボックスにTeslaと入力するのでも同じことができるが、Messengerという良く使うアプリから直接検索して記事をチェックできるのは便利だと感じた。

今のところ、Messengerでじっくり記事を読める体験が期待できるかというとそうではないかもしれないが、それに関してはある程度デザインやUIの変更でカバーできる部分だと思う。例えば、記事をFacebookが全パブリッシャーに開放したインスタント記事での表示にするのなら、ロードも早くて、デザインも損なわれないと思う。現状ではレコメンド記事の精度も質問への回答の精度も十分ではないが、TechCrunchのボットはボット製作を行うChatfuelと協力して製作したものであり、より多くのユーザーがボットを使えば使うほど人工知能が賢くなることが見込める。このボットを通じて、本当に私が読みたい記事が日に数回配信されたり、Messengerのボットに知りたいことを伝えるだけで正確な回答が得られたりするのなら、ますますモバイルでブラウザを起動して個別記事を検索することは少なくなるかもしれない。

日本では、コミュニケーションアプリでのニュース配信と言えばLINE NEWSがある。これはボットではないが、LINEが3月に開催したプライベートカンファレンス「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」ではLINE公式アカウントやLINE@アカウントに応答する「Chat AI Plugin」を年内にローンチすると発表している。それを考えると、コミュニケーションアプリからニュースを消費するのが一般的になる日は着々と近づいていると言えるだろう。

ちなみにTechCrunch Japanは週に3回(月・水・金)にLINE NEWSで記事を配信している。今はまだ編集部で選定した記事を配信しているのだけれど、そのうちボットが代わりにその仕事をすることになるかもしれないと思うと作業が減って少し得したと思う反面、徐々に仕事が奪われているという危機感も感じ、複雑な気分になる。

 

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。