旅行するとなると、スーツケースの他に購入したお土産などで荷物が多くなりがちだ。十分に観光を楽しむためには荷物を預けたいところだが、コインロッカーがすぐに見つかるとも限らないし、大型の荷物が入らないものも多い。ecboはそういった課題を解決するため、店舗が遊休資産を使って荷物を預かれるようにするシェアリングサービス「ecbo cloak」を提供している。本日ecboは、数千万円規模の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先は、既存投資家のANRI、個人投資家の渡瀬ひろみ氏と千葉功太郎氏だ。
ecbo cloakは荷物を預けたい人と荷物を預る店舗をつなぐシェアリングサービスだ。ユーザーはecbo cloackで荷物を預けておく場所と時間を予約し、決済まで完結できる。店舗側にとっては使っていない場所を荷物預かりで有効活用するとともに、観光客に店舗のことを知ってもらう機会を得られる。
ecbo cloakは1月18日にローンチし、登録店舗は100店舗になったとecboの代表取締役社長を務める工藤慎一氏は話す。登録店舗にはカフェやレンタサイクル店、ネイルサロンやアパレルショップ、コワーキングスペースなどがあるそうだ。
サービスローンチ後に台湾のメディアでも紹介されたことから、ecbo cloakの利用者は台湾、香港からの旅行客が増えているという。現在は、ユーザーの9割が外国人と工藤氏は説明する。ecboを利用した訪日外国人旅行客に話を聞いたところ、コインロッカーの場合、空いていなかったり、大型の荷物は入らないことに困っていていて、ecbo cloakは彼らのニーズに応えられているという手応えを感じているという。
ecboは2015年6月に創業し、これまでにANRIから資金調達を行っている。今回の資金調達は主にプロダクトの開発と店舗開拓を進めるのに充てるという。まずは主要都市やイベント会場付近に提携店舗を増やし、年内には全国1万カ所の荷物預かり拠点を置くことを目標としていると工藤氏は話す。
ecbo cloakは現状、預かった荷物の手数料30%を得るビジネスモデルだ。ecbo cloakの1日の利用料は小型の荷物で300円、大型の荷物で600円なので、収益を上げるには店舗と荷物を預けたいユーザーのマッチング数をとにかく伸ばさなければならない。
ただecboは荷物預かりにとどまらず、ゆくゆくは海外への荷物の発送といったサービスを付加していくことも視野に入れていると工藤氏は話す。そのためにも、まずは物流拠点となる荷物を預かる店舗のネットワークを構築することに注力するという。「Uberは人の移動を変え、Airbnbは人の宿泊を変えました。ecboが目指すのは、モノの住まいとなり、モノの移動を変えることです」と工藤氏は話している。