視聴触覚のデジタルイノベーションを推進するピクシーダストテクノロジーズ(PxDT)は3月4日、騒音問題を解決するため、音響メタマテリアル技術を用いた革新的な吸音材「iwasemi」を開発したと発表した。また工事、建材、什器、鉄道、自動車など様々な分野での社会実装に協力可能なパートナー企業の募集を開始した。
iwasemiは、音響メタマテリアル技術にPxDT独自の吸音設計技術を応用することで開発した吸音材。iwasemi吸音材には「吸音周波数特性の柔軟性」「高い吸音率と薄型化の両立」「素材の選択自由度と加工自由度の高さ」といった特徴があるという。
メタマテリアルとは、波長以下の微細な周期形状を物質に付与することで、自然界にはない振る舞いをする人工物質の総称。2000年頃から光・電磁波の分野で研究がなされ、完全レンズや光学迷彩などへの応用が検討されているという。音響メタマテリアル技術とは、メタマテリアルの概念を音響分野に適用することで、自然界にはない音響特性を持った物質を生成する技術としている。
吸音周波数特性の柔軟性
グラスウールなどの素材を用いた一般的な吸音材は、原理的に、高帯域となるにつれ吸音率が上がる性質を持つという。一方iwasemiは、特定の周波数帯のみ吸音率が上がる性質、低帯域から高帯域まで万遍なく高い吸音率を示す性質など、適用シーンに応じた柔軟な吸音周波数特性を実現できる。
高い吸音率と薄型化の両立
一般的な吸音材の吸音率を上げるためには、吸音材を厚くする必要がある。iwasemiでは、吸音材を厚くすることなく、吸音率を上げられる。一般的な吸音材と同等の吸音率を保ったまま、薄型化を実現可能。
素材の選択自由度と加工自由度の高さ
一般的な吸音材は、グラスウールなどの多孔質構造となっており、意匠性や強度が制限される。これに対してiwasemiは共鳴構造を採用しており、ABS・ステンレス鋼・アクリルなど様々な素材を用いて、高い吸音率を実現可能。
透明色を含むカラーバリエーション、表面処理によるテクスチャ表現といった意匠性を考慮した吸音材や、強度の高い吸音材を実現できる。吸音材を応用製品と一体成形できるため、応用製品の強度向上・軽量化に寄与するという。
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