宇宙インターネットのスタートアップ、OneWebは12.5億ドル(約1400億円)のベンチャー資金を調達することに成功した。先ごろ同社は衛星6基の打ち上げに成功し、いよいよミニ衛星の大量生産に乗り出すことが可能となった。OneWebは世界規模でまったく新しいインターネット接続レイヤーを構築する野心的な計画を進めている。
OneWebは第1陣として650基前後のミニ衛星を利用して全世界をカバーする新しいインターネット網を建設しようとしている。さらにその後数百基を打ち上げてカバー範囲と通信容量を拡大する。当初のスケジュールからはだいぶ遅れているが、これは宇宙関連の事業では珍しくない。しかし2月末の衛星打ち上げの成功により、衛星の大量生産とその運営という次の事業段階に進む準備が整った。
CEOのAdrian Steckel氏はプレスリリースでこう述べている。
最初の6機の衛星の打ち上げが成功し、Airbus(エアバス)と共同で建設中の画期的な衛星製造施設も完成に近づいている。ITUでも電波帯域の優先割り当ての確保が間近だ。また最初の顧客確保にも成功しつつある。OneWebは計画と開発の段階から実施、運用の段階へと大きく進んだ。
しかし、低軌道であっても大量の衛星を投入するには巨額の資金が必要となる。OneWebの衛星は1基あたり約100万だ。これに打ち上げ費、運用費、人件費などを加えれば10億ドル級のラウンドでもすぐにコストをカバーできなくなるのははっきりしている(同社の調達総額は現在34億ドル)。
もちろんAirbusが開発した独自の効率的な生産システムに移行すれば衛星のコストは下がるだろう。今回のラウンドで調達された資金の一部は衛星製造システムの仕上げにも投資されるはずだ。
現在の計画では、まず十分な数の衛星を打ち上げ(毎月の30基程度が必要)て、来年接続をデモするという。続いて2021年には限定的な商用サービスを開始する。OneWebはすでに最初の顧客としてTaliaを得ている。同社はアフリカと中東をカバーするテレコム企業だ。
もちろん、OneWebには多数のライバルが存在する。一番よく知られているのはSpace Xだろう。同社は数千のミニ衛星で世界をカバーすることを計画している。しかし実際に軌道を周回しているのは少数のプロトタイプだけでスケジュールは大きく遅れている。しかも惑星間飛行や火星植民地化といった壮大な計画をあくまで追求するならミニ衛星打ち上げのためにさほど大きなリソースを割り当てることはできないかもしれない。
Swarm Technologiesは超低コストのソリューションを目指しており、Ubiquitilinkは新しい端末技術に注目して既存のスマートフォンに衛星を直接接続できるようにしようと考えている。これは他の衛星通信や地上通信と共存できる可能性がある。宇宙事業には不確定の要素が多々あり、今後どうなるか誰にも分からない。
とはいえ、OneWebは優秀なエンジニアのチームを持ち、競争でもライバルにリードを保っているため、業界には同社に賭ける強力な企業が多数ある。今回の12億5000万ドルのラウンドはローンチ当初からの投資家であるSoftBankがリードし、Grupo Salinas、Qualcommに加えてルワンダ政府が参加している。
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