訴訟を受けてSnapchatは物議を醸したスピードフィルターを削除

最近はSnapchatの3D漫画レンズが大好評で、友だちがみんなピクサーのキャラクターみたいになってしまう。しかし2013年以降、短時間で消える写真を共有するそのアプリの主な機能であるフィルターがスピードフィルターになってしまい、写真や動画を撮ったときの移動の速さを誇示するものになってしまった。米国時間6月17日、Snapchatはアプリからそのフィルターを取り去ることにした。

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このニュースを最初に報じたNPRは、その機能に対するSnapの最初の擁護をくつがえす「劇的な逆転」と呼んでいる。最近の数年間で、そのフィルターの使用に関連した複数の事故が起き、負傷者だけでなく死者も出ている。例えば2016年、運転中にSnapchatで自撮りをしていた18歳の少年が、時速172kmで他のクルマにぶつかった。被害者のMaynard Wentworth(メイナード・ウェントワース)氏は脳に外傷を負い、Snapを訴えた。彼の弁護士によると、その18歳は「クルマを時速160kmで走らせてその映像をSnapchatに投稿したかっただけだ」という。

Snapchatのフィルター関連の罪は、これの前にも後にもある。2020年の奴隷制廃止記念日である6月19日にSnapchatは、ユーザーに「笑って鎖を壊しましょう」というフィルターをリリースした。2016年4月20日には、Snapchatはボブ・マーリーの遺産管理団体と提携して、ユーザーのヘアーをドレッドロックスにし、黒い肌にする機能「committing blackface」をリリースした。しかもSnapchatのスピードフィルターで死亡事故が起きた後にもフィルターはアプリに残り「運転中は撮影禁止」という警告が付いただけだ。

Snapの広報担当者は、フィルターの削除を発表する声明で次のように述べている。「ステッカーはもうあまり使われていないため、完全に削除することにしました」。その機能はすでに運転時のスピードでは利用できないようになっている、と付け加えていた。同社はフィルターの削除を始めたが、すべてなくなるまでには数週間かかるだろう。

Snapのこの新しい態度は、2021年5月に米国第9巡回区控訴裁判所が、同社には死亡事故の被告適格ありと裁定した後に出てきた。

一般的には、通信品位法230条がウェブサイトないし「対話的コンピューターサービス」をこのような訴訟から護り、その上にポストされたサードパーティコンテンツからの免責を提供している。しかし2019年には、衝突事故で死亡した2人の子どもの親であるLanden Brown(ランデン・ブラウン)氏とHunter Morby(ハンター・モービー)氏が、もう1件の訴訟を起こした。それによると、原告は「アプリの『怠慢な設計』(何よりもそれはスピードフィルターのことだ)が衝突の原因」と主張している。カリフォルニアの裁判官たちは230条に依拠してその訴訟を却下したが、連邦巡回区控訴裁では3名の判事が、この場合は230条の対象にならないと裁定した。すなわち、触法とされたのはSnapchatのソーシャルメディアプラットフォームとしての役割ではなく、アプリの設計であり、それには危険性を十分証明できるスピードフィルターがあった。

そこで、スピードフィルターの突然の削除は、たまたまに見えても決してそうではない。230条による防御が万能ではなくなったのだからフィルターを維持するという法的リスクに勝ち目はない。フィルター関連の事故があっただけでも、Snapchatがフィルターをやめる理由として十分ではなかったか、とも思えるが、正義は遅くなってもないよりマシである。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:SnapSnapchat通信品位法230条

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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