誰でも簡単にゲームを制作・共有できるPlaybyteの新アプリは「ゲームのTikTok」を目指す

Playbyte(プレイバイト)というスタートアップ企業は、ゲームのTikTok(ティックトック)になりたいと考えている。同社が新たに配信開始したiOSアプリは、ユーザーが携帯電話で簡単なゲームを作って公開できるツールを提供しており、縦にスクロールできるフルスクリーンのフィードでは、他の人が作ったゲームをプレイすることができる。TikTokのように、フィードは時間の経過とともにパーソナライズされ、自分の好きな種類のゲームがより多く提供されるようになる。

通常、ゲームの作成には何らかのコーディングが必要だ。だが、Playbyteのゲームは、シンプルなブロックや絵文字、さらにはiPhone内に保存されているカメラロールの画像も使って作成する。このアイデアは、ユーザーにコーディングの基礎を教えるようとする入門教育的なものではなく、ゲームを作ることを自己表現の1つの形にすることを目的としている。

Playbyteのゲーム制作は、ウェブフレームワークをベースにした軽量な2Dゲームエンジンを活用するものであり、低速回線や古いデバイスでもすばやく読み込んでプレイできるゲームを作ることができる。ゲームをプレイした後は、画面右側のボタンで「いいね」やコメントすることができるが、これもTikTokのルック&フィールによく似ている。しばらく使っていると、Playbyteのフィードには次々とおすすめゲームが表示される。これはゲーム内の画像、タグや説明文、その他のエンゲージメント分析を活用して、ユーザーが魅力を感じると思われるゲームを提供するためだ。

配信開始当初より、ユーザーはすでにPlaybyteのツールを使って、シミュレーター、タワーディフェンス(防衛)ゲーム、戦闘ゲーム、Obby(障害物レース)、殺人推理ゲームなど、さまざまなゲームを制作している。

私たちは「Playbyte」というアプリを作りました。携帯電話でゲームを作ったり、他のユーザーが作ったゲームを発見したり、友達と競い合ったりできるアプリです。https://playbyte.io

Playbyte

Playbyteの創業者でCEOであるKyle Russell(カイル・ラッセル)氏は、ドローンメーカーのSkydio(スカイディオ)、ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、そして(実は)TechCrunchで勤務していた人物だ。同氏によると、Playbyteは単なるゲームアプリではなく、ソーシャルメディアアプリを目指しているという。

「私たちの頭の中には、新しいソーシャルメディアのプラットフォームを構築するために必要なもののモデルがあります」と、同氏はいう。

Twitter(ツイッター)がテキストで、Instagram(インスタグラム)が写真で、TikTokが動画でやったことは、制限とパーソナライズされたフィードを組み合わせることだったと、ラッセル氏は説明する。「典型的な例です。彼らはこれらの体験を非常に短く制限することから始めました。つまり、短くて制限のあるフォーマットと、その制限の中でうまくやるためのツールを組み合わせたのです」。

同様に、Playbyteのゲームにも制限がある。根本的にシンプルであることに加え、ゲームは5つのシーンに制限される。この制約のために「プレイ」ボタンを押したときのイントロ画面、ストーリーの導入部、難易度の高いゲーム部分、そしてストーリーのエンディング部分という形式のゲームが作られるようになった。

Playbyteは、簡単に使えるゲーム制作ツールが用意されているだけでなく、ゲームアセットを他のクリエイターが再利用することもできる。つまり、より専門的な知識を持った人が、独自のロジックや複数のコンポーネントを組み合わせてゲームアセットを作ったら、他のユーザーもそれを利用することができるというわけだ。

「基本的には、それほど野心的でない人でも、生産的で創造的なゲームメーカーの気分が味わえるようにしたいと思っています」とラッセル氏はいう。「そのための鍵は、頭の中にゲームのイメージなどのアイデアを持っている人が、すばやく新しいアセットを検索したり、以前に保存した別のアセットを組み合わせたりできるようにすること。そして、それらをレゴのように組み立てたり付け加えたりするだけで、それ以外の設定を自分でしなくても、イメージしたものの90%を構成することができます」と、ラッセル氏は述べている。

近いうちにiOSでは、フィードを広告で収益化することを計画している。例えば、クリエイターが自分のゲームにスポンサー付きのアセットを実装することができるようになるなどだ。さらに将来的には、ある種の支援モデルを確立したいとも考えている。これには定額制の導入やゲームのNFT(非代替性トークン)などが考えられるが、しかしこれはもっと先の話だ。

今まで見た中で一番かわいいスプライトブロブ

Playbyte

このスタートアップは、もともと2019年にウェブアプリとしてスタートしたが、チームは2020年末にその計画を破棄し、独自のゲームエンジンを搭載したネイティブiOSアプリとしてすべてを書き直した。TestFlight(テストフライト)でユーザー数が上限の1万人を超えたこのアプリは、先週よりApp Storeで配信が始まっている。

現在は、TikTokやRoblox(ロブロックス)、Minecraft(マインクラフト)、Fortnite(フォートナイト)などのコラボレーションゲームに参加している若いティーンエイジャーに支持されている。

「これらの若者は、自分でゲームを作ってみたいと思っていても、コードやその他の高度なツールを学ぶ必要があることに抵抗を感じていたり、それらのツールにアクセスできるコンピューターを自宅に持っていなかったりするのです」と、ラッセル氏は指摘する。

Playbyteは、FirstMark(ファーストマーク)のRick Heitzmann(リック・ハイツマン)氏)、Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)のJonathon Triest(ジョナサン・トリエスト)氏とBlake Robbins(ブレイク・ロビンス氏)、元TechCrunch編集長でDream Machine(ドリーム・マシン)のAlexia Bonatsos(アレクシア・ボナトソス)氏などの投資家や、Coinbase(コインベース)の共同創業者であるFred Ehrsam(フレッド・エールサム)氏、Oculus(オキュラス)の共同創業者であるNate Mitchell(ネイト・ミッチェル)氏、元TwitterるAshita Achuthan(アシタ・アクサン)氏などのエンジェルから、プレシードおよびシード資金として400万ドル(約4億4000万円)を調達している。

このアプリは、App Storeから無料でダウンロードできる。

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画像クレジット:Playbyte

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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