貧困地区East Londonの子どもたちがプログラミングを学べるための奨学制度が発足


 
イーストロンドン地区の非学卒者にデジタルの技能を身につけさせるための学資制度が1月から始まる。このローン制度には、イギリスの技術者人口の不足に対応し、また技術的技能の有無によって大きく拡大している社会的・経済的格差を解消する、という二重の目的がある。

この奨学資金はTech City Fellowshipと名付けられ、18〜25歳の非学卒者に一人あたり最大11600ポンドが、ソフトウェア開発技術を学ぶための学費として貸し付けられる。

この12週間のプログラミング特訓を実際に行うのはMakers Academyで、ここはこの奨学制度の協力企業の一つだ。ローンは、学費だけなら8000ポンド、生活費込みならこれに毎月1200ポンドがプラスされる。

このMakers Academyの特訓コースを終了した者には、この奨学事業の一環として見習いデベロッパやインターンの仕事が保証される。

見習いデベロッパやインターンの受け皿としては、今のところ二社が名乗りを上げている。それらは、ファッションeコマースのアグリゲータLystと、コラボレーションプラットホームProFindaだ。この奨学制度は最大で毎年100名の対象者を予定しており、そのためにもっと多くの受け皿企業を集めたい、としている。

最初のパイロット事業のローン対象者数は不明だが、協力企業がまだ2社だから、100名には遠く及ばないだろう。

アップデート: この奨学事業への現在の出資はProFindaからの12000ドルと、そのほかのVCや技術コミュニティからの寄付から成り、この2月に一人の生徒を受け入れるぶんには十分である。Maker Academyの広報によると、目標額は2015Q1までに10万ポンド、生徒数8名だそうだ。生徒100名までは、まだまだ遠い。

“今後は出資パートナーの数を増やしてこの奨学制度を年間100名の若者たちに提供したい。すでに奨学制度の枠組みはできたので、この目標は十分に達成可能だ”、と同社は述べている。

この奨学事業は、Connecting Tech City(CTC)プロジェクトの一環で、イーストロンドンのテクノロジブームがもたらす利益を当地の住民にも及ぼそう、という趣旨だ。CTCを企画し実施しているCentre for Londonは、環境問題や住宅、そのほかの社会経済的問題など、今のイギリスの首都が抱える課題に挑戦している非営利のシンクタンクだ。

ロンドンのイースト・エンドが政府のTech City事業などを契機に最新流行のスタートアップハブになる前は、当地区は非常にさびれていた。2010年には、ロンドン自治区内のHackneyとNewhamは、英国自治省(Department for Communities and Local Government)の評価で最下位1%の‘もっともさびれた地区’に入っていた。Tower Hamletsも、ほぼこれらに近かった。

しかし2012年のロンドンオリンピックと、それに次ぐTech City事業により、これらロンドン東部地区にはお金と注目が集まるようになり、企業やスタートアップが進出してきた。これらは当然、地域経済に影響を与えた–スタートアップのオフィスの家賃も高くなったが。ただし、それでもまだ、イーストロンドン地区の貧困は持続し、格差はむしろ拡大している。地元の失業者たちは、新たに入ってきたスタートアップなど技術系企業には就職できないのだ。

シンクタンクNew Policy Instituteが2013年に発表した報告書は、East London Boroughsの中心部にやや改善が見られるものの、一般的には格差、貧困児童、失業、19歳以上の無資格者、給与の不平等などが、Tower Hamletsなどではロンドンの平均を下回って悪化している、と報じている。

そういうイーストロンドン地区の若者にテクノロジのスキルを身につけさせ、地元に雇用者を吸引することは、確かに良いことではあるが、ただし地区の社会経済状況を目に見えて変えるためには、今回の奨学事業のようなものを何倍ものスケールで展開する必要がある。

まだこの奨学ローンの返済条件などは、明らかでない。そのローンの額は、通常の3年間の高等教育の学費に比べて少ないとは言え、返さなければならない借金であることは同じだ。テクノロジとその実用教育(プログラミング)を軸として地域経済を盛り上げようとする今回の試みも、その実際の成果は未知数である。

イーストロンドンに住む当該年齢の方は、ここで今度の奨学制度の詳細を知ることができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

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