賛否両論を呼ぶFacebook監督委員会が削除コンテンツの再審査を開始

Facebook(フェイスブック)の意思決定者からなる外部機関は、コンテンツをプラットフォームに載せるべきか否かの事例検証を米国時間10月22日から開始する。

この新しいシステムは、社内のコンテンツ管理の意思決定を、Facebook Oversight Board(フェイスブック監督委員会)と呼ばれる新たなグループに上申する。委員会は判断を下し、その決定はどんな種類のコンテンツが許されるか否かの前例となって影響を及ぼす。

同社によると、フェイスブックまたはInstagramでコンテンツ審査に不服を申し立て、すでに通常のプロセスを終えた人は誰でも、特別なIDを取得し監督委員会のウェブサイトで事例を提出できる。

また委員会はどの事例を審査するかを、ユーザーが申し立てた案件とフェイスブックが排除した案件の両方から選ぶという。5月に発表(Facebookリリース)された委員会メンバーは、フェイスブック自身が指名した4人の共同議長を中心に構成されている。国際的な20人のメンバーには、元ジャーナリスト、米国控訴裁判所判事、デジタル権利活動家、元デンマーク首相の他、リバタリアニズムのシンクタンク、Cato Institute(ケイトー研究所)のメンバー1名らがいる。

しかし、本誌が先に報じた(未訳記事)ように、委員会の決定が魔法のようにプラットフォームの変更を決めるるわけではない。ポリシーは独立して決定され、監督委員会が提言したそれぞれのポリシー変更はフェイスブックに戻され、そこで「ガイダンスを見直し」どの変更を実施するかどうかを決定する。

監督委員会独自の審査結果は残るが、必ずしもそれがフェイスブック全般に適用されるという意味ではない。フェイスブックは「個別のコンテンツに対する委員会の決定を施行し、あらゆるポリシー提言を注意深く検討し透明性をもたせることを約束します」という。

すでに掲載が許されたコンテンツではなく、削除されたコンテンツに焦点を当てるという委員会の方針もその権限を歪めるだろう。議会の保守批判派の一部強硬派(未訳記事)は反対するかもしれないが、フェイスブックにとって真の問題は何がオンラインに残るかであり、何が削除されるかではない。それが、暴力的民兵が連絡をとり組織化することであれ、政治家が選挙に関する嘘を流布することであれ、ミャンマーの標的型暴力を煽る(The New York Times記事)軍関係者の誤情報であれ、フェイスブックで広まるコンテンツには、著しく危険な方法で現実を歪める力がある。

批判を認識しているフェイスブックは、サイトにいまも掲載されているコンテンツについての判断は「当初から十分考慮している。なぜならこれらの案件は監督委員会に直接提示できるからだ」という。しかし、どの案件の審査を依頼するかをフェイスブック自身が決定することは、委員会の独立性と根本的に衝突する。

委員会は当初コンテンツ削除の再検討に集中する、それは既存のシステムの仕組みによるものだが、「できるだけ早く、規則に示されたあらゆるタイプのコンテンツを対象にする」ことを目指しているとフェイスブックは語った。

「委員会にはフェイスブックと必ずしも一致しない決断を下すことを期待しています。しかし重要なのは、独自の判断を下すことについて完全な自律性が保たれていることです」と同社は2020年5月に述べている。

批判派は異議を唱える。あらゆるフェイスブック懐疑派が、この監視行動に目を見張り、あれは見え透いたポーズであり、フェイスブックが人々に思って欲しいほどの力を持っていないと指摘している。

著名な批評家のグループが自称「真の監督委員会」を発足させたことをフェイスブックは喜んでいない。そして、あるテクノロジー系監視団体は2020年に米国の委員会メンバー5名に対してもっと権力を得られないなら辞任するよう要求した。

フェイスブックは、何年も前から準備していた監督委員会の発足が秋の終わりまでずれ込むと発言したことについても批判を浴びている。しかし、選挙を数週間後に控え、フェイスブックは突然ポリシーを変更し、数年来放置してきた諸問題の対策を講じた。もちろん監督委員会もそのひとつだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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