スタートアップが生き残るためには優れた起業家の存在が不可欠だが、この「優れた起業家」の条件については、これまで明確な定義がなかった。
これを定義しようと、シリコンバレー発の起業家育成プログラム&スタートアップ・アクセラレーター「ファウンダー・インスティテュート関西」が興味深いインフォグラフィックを作成したので、ご紹介しよう。
ファウンダー・インスティテュートでは、過去5年にわたり起業家に適正テストを受けさせており、その数は今日までに実に2万人にものぼる。これらの起業家が卒業後にスタートアップを創業し、その後の各社のパフォーマンスを追跡する形でデータを収集した。
ちなみに、ファウンダー・インスティテュートで創業されたスタートアップの数は今日時点で 1310社となっているため、Y Combinatorや500 Startupsなどのシリコンバレーの他のアクセラレータと比べても、そのデータ数は圧倒的に多い。調査結果の正確性を確保するには十分な数字だろう。
調査結果は下記のインフォグラフィックの通り。なかなか興味深い内容なので、じっくりと読み込んでもらいたい。
まず驚くことに、テクロノジー系スタートアッップでは起業家の年齢は若いほど有利だと言われているが、実はそうではないことが分かった。調査結果では、最も高いパフォーマンスを出しているスタートアップの起業家は、社会人として10年以上の業務経験や専門知識を有している人物が多いことが示された。適正年齢は28歳以上で、最もアドバンテージがあるのは34歳という結果が出た。これは意外と思う人も多いのではないだろうか。
さらに驚くことに、優れた起業家と I.Q.(知能指数) の間には「全く何の関係もない」ことが分かった。これも一般的には「I.Q.が高い=頭が良い=ビジネスが得意」と捉えられがちだが、実は優れた起業家に必要なものは I.Q.ではなく、パターン認識であることが明確になった。
パターン認識とは、失敗体験を素早く解析して同じ過ちを繰り返さない、成功体験であれば同じ成功が繰り返し発生するための仕組みを素早く作り上げるスキルである。優れた起業家には、この「パターン認識能力」が長けている人物が多いことが分かった。なので、ファウンダー・インスティテュートでは、この結果を受けて、起業家の適正テストから I.Q.評価の取り除くことにした。これに加えて「オープンマインド」や「許容性」といった資質も重要であることも添えておこう。
逆にダメな起業家の条件の定義もある。利己的で攻撃的、つまりエゴ丸出しの起業家は、周囲からの賛同や理解が得られにくく、常に自分の元から人が去っていく状況を作り出してしまう傾向がある。情緒不安定、ナルシストといった性格の持ち主もダメな起業家の条件に当てはまる。
いかがだっただろうか。自分がこれまでに経験してきたスタートアップ世界に当てはまるところはあっただろうか。ぜひ感想を聞かせてもらいたい。