アマゾンを検索すれば、欲しい商品はだいたいヒットする。
この数億にのぼる圧倒的な品揃えを支えているのが、他の販売事業者がAmazonのサイトを借りて物品を販売する「マーケットプレイス」の存在だ。今回、アマゾンジャパンの招待を受けて、マーケットプレイスを利用するEC事業者にお話を伺う機会を得たので、お伝えする。
経営危機から一転、EC参入で売上190倍に
『売上の95%をECが占めている』と語るのは、「泉州タオル」を製造・販売するヒオリエだ。2004年頃に経営危機に陥っていた同社は、新しい販路の獲得に向けて2007年にECに参入。楽天やヤフーショッピング、Amazonなどにストアを出店し、売上を190倍にまで伸ばすことに成功した。
同社によると、Amazonマーケットプレイスの大きな特徴は「フルフィルメント」(FBA)だという。これは、Amazonの倉庫や発送サービスを借りて「お急ぎ便」や「時間指定便」などAmazonの直販商品と同じ発送サービスを利用できるというもの。巨大セールの「プライムデー」では大量の注文が入ると言うが、その際の発送も丸投げできるのは確かに便利だろう。
次に話を聞いたマルホ酒店は、明治末期に創業した酒屋だ。2015年にECに参入し、クラフトビールの詰め合わせなどがヒット。実店舗も展開しているが、今では売上の半分をECが占めている。
プロテインやフィットネス・トレーニング機器の製造から販売までを担っているのがFixitだ。同社も楽天など複数のモールを利用しているが、各モールに違いについては『顧客層が違っている。肌感覚では男性のお客さんはAmazonが強い』と説明する。また、前述のフルフィルメント(Amazon FBA)についても『Amazonの倉庫に入れたあとは(発送作業などは)放置できる』とメリットを語る。
このように「何でも買える」というAmazonの圧倒的な品ぞろえは、Amazonの直販商品では成り立たず、他の販売事業者が支えている。販売事業者にとっても、販路を拡大するという意味で、ECモールに出店する意義は大きいようだ。また、Amazonは海外にまで販路を広げる「海外発送サービス」を開始するなど、事業者が商品を売りやすい環境整備にも注力している。
なお、日本のBtoCのEC市場は16.5兆円(2017年)で前年比9.1%増。今後も拡大が継続する見通しだ。