車好きのコミュニティでは、互いの車を褒め合うというのはよくあることだ。しかし、これまで赤の他人の車を褒めるには、すれ違いざまにサムズアップするか、停めてある車のフロントガラスにメモを残すくらいしか方法はなかった。それが2016年の今、変わろうとしている。本日ローンチされたTreadアプリを使えば、車マニアはナンバープレートを使ってお互いと交流できるようになる。
このようなアプリの話を聞くと、さまざまな疑問が浮かんでくる人もいるだろう。まず、このアプリはドライバーが運転中に利用することを想定しているのだろうか?「ドライバーの皆さんには、運転中に携帯電話は使わないでもらいたいです。私たちは、ユーザーが目の前にいるドライバーについてTread上で話すことを狙っているわけではありません」とTreadのCEO兼ファウンダーであるJason Bosnakは話す。つまり、もしも誰かが車に乗っていれば、同乗者にアプリを操作してもらうことをTreadは想定しているのだ。また、ドライバーしか車内にいない場合には、ドライバー自身が気に入った車のナンバーを覚えておくか、運転を終えた後に、ドライブレコーダーの画像からナンバーをみつけて、Treadを通じて所有者にコンタクトするという使い方も考えられる。
同アプリに関するメディア向けの資料には、ユーザーがメッセージ機能を使って他のユーザーに対してレースを申し込むことができると書かれているが、Bosnakはこの言い回しがまずかったと認めている。「ユーザーは似たような車を持っている人にコンタクトして、車のパーツや問題について尋ねられるほか、その人がレースをしているかどうかも聞くことができます。ただ、レースとは公道でのレースを指しているわけではなく、私たちは違法行為を促すつもりはありません」と彼は話す。
Treadは車好きの人に対して、特定の車メーカーやモデルに関する掲示板・Facebookファンページよりも、本アプリの方が効率的に交流ができると宣伝している。「車に関するコミュニティでは細分化が進んでいます」とBosnakは話す。もしもあなたが車好きであれば、自分の車のことを本当に愛しているとしても、恐らく他の車にも興味があるだろう。そのような人同士を結びつけ、イベント情報や路上でみつけたカッコいい車、バーチャルガレージなどを共有できる機能がTreadには備わっているのだ。
これまでにBosnakは、バーチャルガレージ、Faceook・Twitterとの連携機能などを備えたウェブサイトや、出先で使えるシンプルなアプリを開発してきた。Treadに関しては、現在はiOS版のみが配信されており、Android版は1、2ヶ月以内に公開される予定だ。同アプリは今後も無料で提供していくものの、Bosnakはユーザーをターゲットとした広告商品の販売を行っていきたいと考えている。「私たちはユーザーが運転している、もしくは興味を持っている車と広告主を結びつけることができるかもしれません」と彼は語る。例えば、ユーザーがTread上でフロントブレーキディスクを買い換えたいという投稿をすれば、ユーザーの住所の近くのAutoZoneでブレーキディスクがセールになったときに、アプリが自動的に通知を送ることができるかもしれないのだ。
最後の心配事がプライバシーで、これはBosnakも気にしている点だ。「情報管理はとても重要な問題で、かなりの時間をかけて対策を考えてきました」と彼は話す。さらにBosnakが弁護士と、プライバシーに関する無理のない期待についての議論を進めた結果、公道に停めてある車は問題ないだろうが、誰かの敷地内に停めてある車はプライバシー違反につながるだろうという話になった。「私たちはプライベートな情報が公開されてしまわないよう、車の所有者を保護したいと考えています。これはインターネット全体が抱えている問題でもあります」と彼は話す。なお、Treadのユーザーは自分たちの車に関する情報を全て管理できるようになっており、気に入らないポストは削除することができる。「Treadのネットワークをどのように管理していくかについて、まだまだ学ぶことがあるかと思いますが、私たちは何よりも、ユーザー全員が安全に楽しくTreadを利用できるような環境を作っていきたいと考えています」とBosnakは語った。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)