新型コロナの影響もあり、EC需要が高まりを受け、物流倉庫での人手不足が問題になっている。物流倉庫での作業の効率化を図るのに注目を集めているのが、人の代わりに荷物を運搬する自動搬送ロボットだ。
3月3日、倉庫や製造工場向けに自動搬送ロボットを開発するLexxPlussは、インキュベイトファンド、SOSV Investments LLC、住友商事を引受先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。具体的な調達額は非公開なものの、億単位であるそうだ。
自動搬送ロボットと言えばAmazonを思い浮かべる人も多いかもしれない。Amazonの物流倉庫では、作業員がわざわざ商品を取りに行かなくて済むよう、棚ごとロボットが動かせる仕組みを導入している。
ただ、日本の物流会社がどこもAmazonと同じように倉庫の自動化に投資ができるかというと、そうではないだろう。それにAmazonの場合、ロボットの作業場は基本的に人が作業していない無人の空間を想定しているが、日本の物流倉庫では敷地面積などの関係から、人が作業している空間も多い。LexxPlussは作業する人がいても柔軟に走行できる自動運搬ロボットを提供することで、今ある現場の動きを妨げずに、ロボットに任せられる作業は自動化できるようにしたい考えだ。
自動搬送ロボットには大きく分けると、床に敷いた誘導線上に沿って軌道走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)と、誘導線を必要とせず自動運転技術を搭載し、自律的に走行するAMR(Autonomous Mobile Robot)とがある。LexxPlussのロボットは、この2つを組み合わせた「ハイブリッド制御技術」を実装しているのが特徴だ。これにより、狭い通路や決まった位置を走って欲しい時は軌道走行に、人や物を迂回する必要がある場所を走行するときは自律走行に設定することで、その現場に合った使い方ができるというわけだ。
LexxPlussの提供する自動搬送ロボットのサイズは60cm×60cmで、これは他社製品と比べると小型と同社は説明している。積載の場合は300kgまで、牽引は500kgまで可能だ。
ビジネスモデルとしては、自動搬送ロボットを原価に近い価格で提供し、運用管理を月額のサブスクリプションで提供するRaaS(Robot as a Service)だ。通常、自動搬送ロボットは買うと1台500万円ほどするそうなので、サブスクリプションモデルにすることにより、中規模の物流倉庫でも導入しやすくしたい考えだ。
国内外で自動搬送ロボットに取り組んでいる会社はそれなりにある。競合は多そうだが、まだ現場のニーズを汲み取れているプロダクトはないように感じているとLexxPlussの代表取締役を務める阿蘓将也氏は話す。
「お客さんと話をすると『ロボットはいっぱいあるけれど、全然導入できない』という話を聞きます。プロダクトはあっても、ロボットがこうなので現場がそれに合わせてくださいと言われてしまう。現場の課題に合ったプロダクトがなくて、プロダクト・マーケット・フィットしているものはまだありません。競合は多くあるように見えますが、ブルーオーシャンい近い領域だと思っています」。
LexxPlussの自動搬送ロボットは2021年秋頃から一般販売する予定だ。現在は、複数の大手事業者と導入に向けた実証実験を行っている。今回調達した資金はプロダクト開発と人材採用に充てる予定という。
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カテゴリー:ロボティクス
タグ:LexxPluss、資金調達、物流、日本
画像クレジット:LexxPluss