問題解決への意欲から、強い企業が生まれる。それは、ファウンダを個人的に苦しめた問題であることも多い。APIを開発するチームのためのプラットホームを提供するPostmanも、それが良いスタートを切るためのバネだった。加えてこのインドのスタートアップは、Nexus Venture Partnersから100万ドルのシード資金を獲得した。
PostmanのCEOで協同ファウンダのAbhinav Asthanaは、Yahooでインターンをしていた2009年にAPIの開発を手伝い、その問題に遭遇した。
“APIの制作と、それを使った開発とのあいだを、行ったり来たりしなければならないんだ”、と彼は説明する。“その結果、APIも目的アプリケーションも、どちらも、ものすごく時間がかかる。時間がないから、APIのドキュメンテーションもきちんと整備できない”。
バンガロールのオフィスでAsthanaは、その後もこの問題に付きまとわれた、と語った。彼が2010年にパノラマ写真のアプリケーションTeleportMeを作ったとき、それはその後2012年に苦労してオープンソースのソリューションを開発するきっかけになったのだが、サイドプロジェクトの方がおもしろい、と感じる機会があった。そこで彼は2013年9月にPostmanをスタートし、元AdobeのエンジニアAnkit SobtiをCTOに迎えてAPI開発用プラットホームの構築に着手した。
それから18か月経った今、PostmanのサービスはChromeのアプリケーションとして可利用になり、一気に成長した。今、登録ユーザのデベロッパは150万に以上おり、そのうち80万あまりがアクティブユーザだ。ユーザは世界各国に分布し、合衆国ではBoxやMicrosoft、Ciscoなども利用している。
インドの社員9名の企業にしては悪くない結果だが、今回のシード資金で年内にサンフランシスコにオフィスを開く予定だ。社員増も、考えている。ただし、あまり大人数の会社にはしたくない、とAsthanaは言っている。
Postmanの中心的な機能は、APIのためのGoogle Docs、といったところだ。つまりチームが変化変更を追跡でき、コラボレーションで仕事ができる。それにより、破綻のない、コミュニケーションの齟齬のない、APIの開発ができる。
つまりPostman Syncは、API開発のワークフローの全体を一つの場所に置く。検索ができ、アプリ内のAPIをチェックすることもできるので、複数のサイトやドキュメンテーションを行ったり来たりして、どこで何がどう変更されているかなどを調べる必要がない。
またPostmanは、ユーザであるデベロッパにAPIのアップデートに関するニューズフィードを提供し、データをクラウドへシンクする。これによってバグをなくし、変更によってAPIが不具合になることを防ぐ。そして、サービスやアプリケーションが完全な管理下に置かれる。
“APIの扱い方を変えたいんだ”、とAsthanaは言う。“APIの最大の問題点は、仕様等がよく変わるけどそれがドキュメンテーションされないことだ。だから必然的に、アプリケーションはぶっ壊れる。うちは、そんな野蛮時代を終わらせたい”。
このサービスには無料のバージョンもあるが、Postman Syncの有料サービスはデベロッパ10名までが月額49ドルだ。Asthanaは、登録ユーザのせめて5%は有料会員にしたい、と願っている。また大企業などが利用するときは、料金の相談に応じる。
口コミで伸びてきたPostmanだが、今はSyncのコラボレーションプラットホームを改良中だ。それが終わったら、今度はネイティブアプリを作りたい、とAsthanaは言っている。モバイルアプリからの利用が多くなる、と見込めるならば、ということだが。