Bessemer Venture Partnersは2020年のCloud 100 Benchmarkレポートを最近発表し、TechCrunchのAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)がその大まかなトレンドに着目している(未訳記事)が、そのデータを見ると評価額上位の企業に注目すると、近年のトップ企業は何らかの理由で慣習に反していることがわかる。
このレポートはプライベート企業を対象としたもので、上場すると掲載されなくなり、毎年、企業の入れ替わりがある。たとえば初期のレポートでは、2016年と2017年にはDropboxが100億ドル(1兆円)規模の評価額で断然トップだったが、2018年に上場(未訳記事)して以降はいなくなった。
100億ドルという指標は、クラウド企業に対する投機的でない堅実な評価額としてはかなり大きめの額だが、評価額でそれを吹き飛ばした企業がいる。その並外れた大きさは、2020年9月初めの上場(未訳記事)の前に120億ドル(約1兆2700億円)を超えた(未訳記事)Snowflakeさえ小さく見えてしまうほどだ。
その企業は、360億ドル(約3兆8000億円)という途方もない評価額のStripeだ。同社の、トップを目指す快進撃は2016年と2017年に始まったが、2016年には60億ドル(約6300億円)、2017年には約80億ドル(約8400億円)でDropboxの背中を見ていた。2018年にDropboxがこのチャートを去ると、評価額は200億ドル(約2兆1100億円)に跳ね上がり、Dropboxがいたとしても抜かれていただろう。2019年は230億ドル(約2兆4200億円)にまで駆け上がり、2020年には360億ドルと大きく飛躍した。
Stripeが並外れているのは評価額の大きさだけでなく、それでもまだ上場していないことだ。TechCrunchのIngrid Lunden(イングリッド・ランデン)が2020年4月に指摘していた(未訳記事)ように、同社はその意図について沈黙を守っているが、最近ではIPOが近いという推測もある(Forbes記事)。
Stripeがそのクレイジーな評価額を稼いだ主因は、インターネット上における最大の企業の一部がクラウド決済のAPIとしてStripeを使っているからだ。今やAmazon(アマゾン)も、Salesforceも、Google(グーグル)も、ShopifyもStripeの顧客であるため、これだけ大きな評価額になっても不思議ではない。
Stripeは、誰もが自分のアプリやウェブサイトに決済の仕組みを簡単に導入できるサービスとして登場した。決済の部分のコードを自分で書くとしたら、ものすごく時間がかかってしまう。しかしStripeを使えば、開発者がやることはそのサービスのタイプを選ぶだけだ。あとは誰かがその決済のゲートウェイを通るたびに、Stripeが少額の手数料を徴収する。
世界最大の企業の一部が使っており、大小さまざまな企業もStripeを使って決済を実装しているため、その売上の合計(手数料の合計)は膨大な額になっている。それが、驚くべき評価額に繋がっている。
ここでもうひとつ注目したい企業は、RPAサービスのUIPathだ。同社は100億ドルを超える評価額でSnowflakeの次に位置している。レガシーなワークフローを自動化するRPAが、決済のAPIと並ぶほど長寿なものか、それはまだわからないが、この2年間はとても強かった。
レポートに登場する企業の多くが、初登場から2年後にはユニコーンになり、評価額が高騰し最終的に上場している。Stripeは現時点でその道を選んでいないため、相当に異例な企業だといえる。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)