近所のコーヒー店にスタバ並みのモバイル注文体験を提供するCloosiv

米国ではスターバックスのモバイル注文アプリが、かなりの人気を集めている。昨年の実績では、Apple PayやGoogle Payなどよりも多くのユーザーを獲得したとされているほど。確かにうっとりするほど便利だ。仕事に遅れそうで食事をする暇もないときなど、ちょこちょこっとタップして飲み物とサンドイッチをオーダーしておけば、店の前を通るころには受け取る準備ができている。まるで魔法のようだ。

小さなコーヒーショップは、どうすればそれに対抗できるのか?独自のアプリを開発して運用するのは、かなりの大仕事だ。そもそも、顧客にそんなアプリをわざわざインストールしてもらえるのかどうかも問題だ。

Cloosiv(クローシブ)が、そうした悩みをシンプルに解決してくれる。タップするだけのモバイル注文システムの運営を一手に引き受け、ローカルなコーヒーショップに提供するのだ。ユーザーの近くにあるコーヒーショップを紹介するのもサービスの一部。その店のメニューを提示し、実際に注文を入れる前に、好みに合わせてドリンクをカスタマイズすることもできる。チップの支払いもアプリ内で完結する。いちど店を訪れた人がリピーターになってくれるのを促す特典システムも備えている。

Cloosivのネットワークに加盟しているコーヒーショップは、まだそれほど多くない。現在ではサンフランシスコにも数店あるだけだ。アプリ内のマップで確認しても、米国内で200店に満たないほどしかない。しかし、その数が増えるほどそのコンセプトの意味も光ってくる。そうなれば、巨人対その他大勢といった構図になってくるだろう。

スターバックスのモバイル注文アプリと同様、Cloosivもアプリにお金をチャージしておくことをユーザーに勧めている。あらかじめ、ある程度の額を入金しておくことで、クレジットカードで支払う回数を減らす。それによってカード会社の手数料を節約することを狙っている。ただし、スタバのアプリとは異なり、あらかじめチャージしておかなくても、毎回カードから支払うことも可能だ。ただし、その場合には毎回40セント(約43円)の手数料が加算される。どちらを選ぶかはユーザー次第。

私も先週、サンフランシスコでこのアプリを試してみた。もちろん能書きどおりに機能した。まず私はBARTの駅の近くのコーヒーショップ(Coffee Mission)を見つけた。電車の到着を待つ間に注文を済ませ、目的地で電車を降りて駅から出ると、すでにコーヒーの準備はできていた。

Cloosiv for Merchantsアプリ

多くの(ほとんど?)のコーヒーショップでは、タブレットをPOS端末代わりに使っているだろう。Cloosivは、すでにそこのあるものを利用することに注力している。注文が入ると、バナーが表示されると同時に通知音が鳴る。コーヒーショップの従業員がそのバナーをタップすると、Cloosiv for Merchantsアプリの画面が開く。そこで注文の内容を確認したり、完了したらマークしたりすることができる。

Cloosivは、次のステップとして、コーヒーショップがすでに利用しているレジアプリに、自らの機能を直接組み込むことを狙っている。まず考えているのがSquareだが、ゆくゆくはCloverやMicrosなどにも組み込めるよう計画している。

Cloosivは、注文ごとに手数料をショップに請求する。手数料の割合は、注文数が増えるほど低くなる。月ごとの計算で、最初の50件の注文には12%の手数料がかかる。たとえば、注文数が150を超えれば、手数料は8%に下がる。

Cloosivの創立者であるTim Griffin(ティム・グリフィン)氏によれば、これまでに3万5000件以上の注文を処理し、それに対するコーヒーショップの収入は、25万ドル(約2700万円)を超えているという。また注文数と総売上は、いずれも毎月約40%ずつ増加すると見込んでいる。同社は最近、Lachy Groom(氏(元Stripeの発行部門責任者)、Laura Behrens Wu氏(ShippoのCEO)など、何人かの投資家から、少額の投資を受けた。また、Y CombinatorのSummer 2019クラスに参加している。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。