迫るiOS 15リリースでマーケティング担当者が失うデータ、計画すべきDIYメトリクス戦略

Apple(アップル)は、米国時間9月20日(日本時間9月21日)に同社がリリースするiOS 15の一部として、重要なユーザーデータへの開発者のアクセスを排除することを計画しており、メールマーケティング担当者は、これからメトリクスをどのように把握していくかジレンマに陥っている。この問題に業界がどのようにアプローチしているのか、マーケティング担当者が収集したデータに基づいて行動することを支援するソフトウェア企業Movable InkのVivek Sharma(ヴィヴェック・シャルマ)CEOに話を聞いた。

このインタビューでは、8月に掲載されたExtra Crunch記事をベースに、メールマーケティング担当者がAppleのメールプライバシー保護の変更に備える方法を探っていく

今回のアップデートでメールマーケティング担当者にとってゲームチェンジャーなのは、AppleのMailのユーザーが自分のIPアドレスを隠すことができるようになった点だ。

マーケターたちはどのようにして戦術をピボットし、メトリクスを管理し続けられるのだろうか。シャルマ氏は、開封率ではなく、クリック数、コンバージョン数、収益といったダウンストリームメトリクスがより重視されるようになるだろうと考えている。「それはいいことのように聞こえますが、その分データは少なくなります。そして定義上、ファネルは狭くなり、その時点では人数が少ないので、何かがうまくいっているのか、うまくいっていないのかを知るのに時間がかかるかもしれません」。

シャルマ氏は、企業はゼロパーティデータに注目していると語る。「これには2つの要素があります。1つは指標としての『オープン』で、もう1つはオープン時に得られるIPアドレスや時間帯、推測される天候などの情報です。IPアドレスや日時などのような情報は、データ漏洩として認識されます。これらは、マーケターがアクセスできなくなるデータポイントのほんの一部です。そのため、彼らはすでに投資しているファーストパーティデータやゼロパーティデータを利用しています」。

シャルマ氏によると、課題は次のようなことになる。マーケターはどうすれば、ゼロパーティデータをおもしろく、視覚的に魅力的な方法で収集し、そのコンテンツをすべての顧客に対して大規模にパーソナライズできるのか?

以下に示したのは、Movable Inkがゼロパーティデータを収集した方法の1つだ。

「ゼロパーティデータ戦略」
世界的なアパレル小売企業が、ロイヤルティプログラムの導入時にゼロパーティデータを巧みに取り込みました。Movable Inkを利用したEメールでは、Movable Ink ExchangeのパートナーであるOracle CrowdTwistのデータを活用して、パーソナライズされたチェックリストのヒーロー画像を作成し、受信者のロイヤルティアカウントから主要なプロフィール質問を引き出し、完了までの進捗を表示し、回答ごとにポイントを提供しました。この合成画像は、Movable Inkが受信者の受信箱で消費したロイヤルティデータに基づいて自動的に生成され、1to1ユーザー体験を実現し、手動の制作プロセスを完全に回避しました。
​​レスポンス率149%アップ、ユニークCTR340%アップ(コントロール比)
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は次のように述べている。「ここにあるものはすべてアンケート調査の質問です。『ふだん何を買いますか』『靴のサイズは?』そして、そのお返しにポイントを付与するという、価値の交換が行われているのです。彼らは明確な方法であなたのことを知り、あなたが興味を持っているブランドと簡単に関わり合える方法を提供しているのです」。

データを手に入れたら、次の問題はそれをどのように利用するかだ。JetBlue(ジェットブルー)航空の例を見てみよう。

JetBlue パーソナライズド「イヤー・イン・レビュー」データ視覚化
2020年は旅行が困難な1年だったのを受けて、JetBlueはTrueBlueマイレージ会員を認識し、個々の乗客の旅行マイルストーンを紹介するために、一人ひとりパーソナライズされた、1年を振り返るデータビジュアライゼーションを提供したいと考えました。
Movable Inkは、JetBlueの記録システムからデータを抽出し、何十万通りもの組み合わせのクリエイティブアセットを各受信者の受信箱に直接自動生成することで、高価で時間のかかる手作業による制作を不要にしました。
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は、メールマーケティング担当者向けに、iOS 15での3つの重要なポイントを説明してくれた。

  1. クリック数やコンバージョン数などのファネル下部のメトリクスを重視すること。これこそが本当の意味でのエンゲージメントの指標となります。
  2. ゼロ・ファーストパーティデータ資産に投資する。真のパーソナライゼーションとは、人々が何を体験し、何を見るかということ。そのためには、ゼロパーティデータとファーストパーティデータを活用する必要があります。
  3. Eメールは、すでに投資されている成熟したチャネルであるため、顧客のエンゲージメントを高めるのに非常に有効です。Eメールは、顧客と一対一の関係を築くのにはすばらしいチャネルであり、それ以上の効果があります。この10年、15年の間に、Eメールはさまざまな変化を遂げてきました。この業界は進化し、プライバシーとパーソナライゼーションのバランスが取れたものになっていくでしょう。

画像クレジット:FeelPic

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(文:Miranda Halpern、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

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