TechCrunchを頻繁に読んでいる方なら、おそらくmmhmm(ンーフー)という名前のスタートアップをすでにご存知だろう。これは創業者Phil Libin(フィル・リービン)氏のEvernote(エバーノート)に続く第2幕であり、おそらく他のどのスタートアップよりもパンデミックから生まれたといえる企業で、自動バックグラウンド除去や高度なプレゼンテーション機能など、改良されたビデオチャットツールを提供している。Bloombergの報道によると、設立から1年余りの同社は米国時間7月6日、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が主導した1億ドル(約110億6000万円)の新たな資金投入により、合計資金調達額を約1億4000万ドル(約155億円)まで引き上げた。私のように最初の初期ベータ版を使用した記憶がある人であれば、いささか驚異的なことだ。
くだらない名前のスタートアップが多額の資金を集めるのはテック分野では例外的なことではないが、リービン氏のスタートアップの場合は、名前がほとんどないに等しい(言ってみればただの音、日本語にすると「ふうん」「うんうん」というような感じ)という点で、ボーナスポイントに値する。
mmhmmは、既存のビデオツールでは、特にプレゼンテーションにおいて、現代のテクノロジーが提供するすべての可能性にユーザーがアクセスできないという考えに基づいて設立された。mmhmmの中核となるプレゼンターツールは、あなたの会議を、透明なスライドショーやホワイトボードの書き込みに少し色をつけてデジタル化したものではなく、プロのニュース番組のように見せてくれる。mmhmmは創業以来、頻繁な改良を重ねながら、着実に機能を追加し、パフォーマンスを向上させてきた。
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現在のところmmhmmは、Zoomをはじめとする、ユーザーがバーチャルミーティングに使用する既存のビデオサービスと連動するようになっている。しかしBloombergによると、mmhmmは近々、スタンドアローンのアプリとしても利用できるようになり、モバイルアプリ版も発表される予定だという。これは、SVFやSequoia Capitalなどから調達した新たな資金の有効な活用法といえそうだ。
パンデミック後の世界ではバーチャルミーティングの重要性が低下することが予想されるが、それでも、仕事の世界では欠かせないものになるだろう。しかし同時にmmhmmのフィーチャセットは、ワックスの翼を作って、調達額や評価額を上げようと高く翔ぼうとするスタートアップ企業への訓話として語られる「製品ではなく、機能」というコンセプトを定義しているようにも見える。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:mmhmm、ビデオ会議、プレゼンテーション、オンラインプレゼンテーション、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、資金調達
画像クレジット:mmhmm
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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)