選択だけで簡単に作れるブランド向けコラボ動画プラットフォームのCapsuleが2.1億円を調達

ブランドを対象とした動画Q&AプラットフォームCapsule(カプセル)は、パンデミックの中で消費者へのリーチに苦しむ企業のニーズへ、直接対応するものとして2020年に誕生した会社だ。この度、同社はプレシード資金の200万ドル(約2億1000万円)を調達した。このラウンドはArray Venturesが主導し、Bloomberg Betaや他のエンジェルも参加している。

このスタートアップを創業したのは、元々アニメーションGIFキャプチャツールでソーシャルネットワークのPhhhoto(フォート)を作ったチームだ(残念ながらPhhhotoは、最終的にはInstagramによるクローン機能のBoomerangに負けてしまったが)。Phhhotoは2017年に停止し、チームは体験型マーケティング事業であるHypno(ヒプノ)に取り組むために方向転換を行った。新会社はライブイベントや体験会を主催するブランドと、その顧客がつながる手段を提供する活動を行ってきていた。Hypnoはブランドに対して、インタラクティブな操作を可能とした、撮影装置やカメラプラットフォームのようなものを提供した。

だが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、ライブイベントは干上がり、Hypnoのビジネスは実質的に殺されてしまった。しかし、Hypnoが一緒に仕事をしてきたブランドたちは、今でも同じニーズを持っていた。ただ、違うやり方で顧客にアプローチしなければならなくなったのだ。

画像クレジット:Capsule

それがCapsule(カプセル)が誕生した理由だ。2020年に立ち上げられたこのスタートアップは、Q&Aセッションをホスティングするための完全なプラットフォームを提供している。ブランドはテンプレートを選び、キャンペーンに合わせてロゴ、色、ボタン、背景、URLを変更してカスタマイズを行う。いわば簡易ウェブ構築サイトであるSquarespace(スクエアスペース)の動画Q&Aフォーマット版のようなものだ。

そしてブランドは、消費者向けの質問や問いかけを、短い動画応答のかたちで作成することができる。一方このQ&AのURLは、たとえばソーシャルメディアといった企業が選択した方法で配信できる。また、「カプセル」をウェブサイトに埋め込むことができる新機能も登場した。

Q&Aに対する消費者の反応は、最終的な製品のために収集整理される。この技術をさらにおもしろくしているのは、この映像をCapsuleが組み立てる方法だ。

Capsuleは音楽やグラフィック、プリロールやポストロールなどの要素を追加して、瞬時に自動的に動画を処理し、まるで専門的に編集されたように見える動画を生み出す。このスタートアップは、カラー、オーディオ、グラフィック、ダイナミックタイプなどのミキシングを自動化する独自のJavaScriptベースのプログラミング言語を使用している。顧客がやらなければならないことは、自分が望む動画の種類を選択だ。たとえばエネルギッシュな感じのものとか、より落ち着いたものといった選択を行う。

現在、Capsuleはそのライブラリを拡大し、約20種類の基礎テンプレートを提供するようになった。しかし、それぞれ色、スタイル、さらには音楽を変更することで編集することができる。その過程で直接アップロードしたり、またはCapsuleが提供する多数のロイヤリティフリーの音楽を使うことが可能だ。

Capsuleの共同創業者Champ Bennett(チャンプ・ベネット)氏によれば、プラットフォームの柔軟性により、さまざまなユースケースが生まれているという。同社の最初の顧客は、Hypnoが対応していたライブイベント関連の顧客だったが、すぐに新しい顧客たちが製品を採用し始めた。

「既存のお客さまからも、突然押し寄せた新しいお客さまからも、私たちのプラットフォームがさまざまな文脈で役に立つという声がすぐに寄せられ始めました」と彼は説明する。「たとえばUGC(ユーザー生成コンテンツ)キャンペーンや、事業プロモーションのためのソーシャルコンテンツ、知名度向上、製品レビューや体験談、さらには見た目がもう少しプロフェッショナルな感じのコンテンツを高速に作成する方法を探していたクリエイターの方にさえお使いいただいています」とベネット氏はいう。

立ち上げ時には、CapsuleはNetflix(ネットフリックス)のような企業やOkayAfrica(オーケーアフリカ)のような組織に利用されていた。それ以来、Google(グーグル)、Samsung(サムスン)、Salesforce(セールスフォース)、Deloitte(デロイト)、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)などの大規模な組織内のチームや、Paloma Health(パロマ・ヘルス)などの中小企業を含む、何百もの顧客企業と契約を結んできた。米国慰問協会(USO)もCapsuleを使用している。

こうしたブランドたちや多くの組織が、企業が製品やサービスをマーケティングする上で重要な方法になりつつあるオリジナルの短編動画コンテンツを作成するためのツールを強く求めている。Capsuleによると、動画のクリックスルー率は静止画に比べて2~3倍であることを示しており、95%の企業が対前年比の動画支出が増加していると報告しているという。

パンデミックの影響で動画コンテンツの既存需要は加速したが、各ブランドは動画のスケールアップは難しいという課題に直面していた。

「徐々にブランドが動画を作成する方法をハックするケースが増えています」とベネット氏はいう。「その方法の1つが社員、創業者、パートナー、インフルエンサー、ブランドのファンなど、立場を問わず組織内外のさまざまなクリエイターに接触し、ブランドのためのコンテンツ作りに参加してもらうことです」と彼は続ける。「私たちはこれをコミュニティ・ジェネレーテッド・コンテンツと呼んでいます。まあユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツの一種のようなものです。コンテンツはどこからでもくると考えています」。

Capsuleは、Array VenturesのゼネラルパートナーであるShruti Gandhi(シュルティガンジー)氏との協力を望んでいたのだという。なぜなら彼女はエンジニアリングのバックグラウンドを持っており、コア技術を非常に深く理解していたからだ。彼女はまたニューヨークのBloomberg BetaにCapsuleのチームを紹介したが、そのチームもまた、Capsuleが何を作っているのかをすぐに理解してくれたとベネット氏はいう。

今回の追加資金で、Capsuleはプロダクトデザイナーを雇用し、コンテンツの推薦投票機能などの、新たなコラボレーション機能を開発していく予定だ。

長期的には、同社のプラットフォームによって、より多くの人が動画制作に関わることができるようになると同社は考えている。

「企業内には、動画コンテンツを作成できる、実に様々な人材がいることがわかりました。単に作成するためのノウハウを持たないだけなのです。彼らはビデオ編集者ではなのですから」とベネット氏はいう。「ということで、私たちが実際にやっていることは、大小を問わず、あらゆるビジネスの中に存在する創造的な可能性を引き出すことなのです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Capsuleショートビデオ資金調達

画像クレジット:Capsule

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(翻訳:sako)