部屋の模様替えのデザイン検討や家具の購入もできるプラットフォーム「The Landing」

ムードボードの収益化は当たれば大きいアイデアに見えるが、よく考えてみればそれはすでにインターネットのあちらこちらで非公式に行われている。若い世代は、コミュニティを念頭に買い物をしている。大好きなインフルエンサーから商品を買ったり、Instagram(インスタグラム)の広告グリッドで長い時間を過ごした挙げ句に根負けする場合もある。

買い物は、ソーシャルなデジタルファーストの活動だと考える人が増える中、これまで事業を外部に公表してこなかったシードステージのスタートアップThe Landing(ザ・ランディング)は、住宅や空間の内装デザインに興味のある人たちを取り込もうと考えている。The Landingでは、利用者は部屋の模様替えのためのデザインや買い物が行える。

画像クレジット:The Landing

「ここでは、さまざまな文脈からビジュアルショッピングのサイトに飛ばされるようなことはありません。デザインの創造も発見も共有も買い物も、すべて1カ所でできます」と共同創設者のMiri Buckland(ミリ・バックランド)氏はいう。The Landingは、その飛んだ先になることを望んでいるのだ。

バックランド氏とEllie Buckingham(エリー・バッキンガム)氏が創設したThe Landingは、Cowboy VenturesのAileen Lee(エイリーン・リーン)氏が率いる投資ラウンドで調達した250万ドル(約2億6500万円)を使い、間もなくサービスをローンチする。リー氏は同社の取締役会に参加する。その他、Peloton(ペロトン)のCMOであるDara Treseder(ダラ・トレセダー)氏、Poshmark(ポシュマーク)の創設者Manish Chandra(マニッシュ・チャンドラ)氏とTracy Sun(トレーシー・サン)氏、Unshackled Ventures、Designer Fund、Progression Fundが参加している。

The Landingは、パンデミックによって転換期を迎えた。常日頃、そこに住む人にとってコンテクスチュアルな(深い意味のある)内装デザインの問題点を解決したいと考えてきたバックランド氏とバッキンガム氏は、まず、実際にアパートに人を派遣して、いろいろな家具を設置する手伝いをすることから開始した。そこへパンデミックが襲いかかり、人間的な触れあいを大切にしたサービスの提供が難しくなってしまった。バッキンガム氏は、パンデミックが、The Landingで本当にやりたかったことに集中する「最高の原動力になった」と話す。

「私が、長イスを持ってアパートを訪ねる必要はありません」と彼女はいう。「大切なのは創造性をかき立てることであり、デジタルに物理的に空間を創造する力を個人に与えることです」。そして家具の搬入サービスを取り止め、コンテクスチュアルeコマースとソーシャルeコマースの問題点を内装デザインの力で解決することにした。

これは懸命な考えだ。そこに目をつけた企業は他にもあった。Houzz(ハウズ)は、Sequoiaが支援する住宅の改修スタートアップだが、利用者をサードパーティーの小売店の製品や建築家、デザイナー、建設会社などのサービスと結びつけている。現在までに7000万ドル(約74億円)を調達したModsy(モジー)もそうだ。家の模様替えをバーチャルに手伝ってくれる。

バッキンガム氏はビジネススクール時代にModsyで働いていたのだが、そのスタートアップの柱となっている考え方とは反りが合わないと、早々に感じるようになった。

「Modsyのモットーは、基本的に人による既存のサービスをデジタル化するというものでした」と彼女は話す。「そのサービスモデルがスケーラブルで、デザインの入口をカスタマイズする未来への回答だと確信することができず、そこを去りました」。若い世代はセルフサービスのカスタマイズ可能な答えを求めていると、彼女は気づいていた。

The Landingの共同創設者ミミ・バックランド氏とエリー・バッキンガム氏(画像クレジット:The Landing)

The Landingには、利用者がそのプラットフォーム上で空間を作りデザインできるツール一式が用意される。これからの数カ月は、デザインツールの上にプロフィール、発見、フィード、コメントなどの機能を備えたソーシャルレイヤーを追加する作業に専念する。

現在、The LandingのSlack(スラック)チャンネルで、これらの機能や初期利用者からの強い要望などが話し合われている。

創設者たちは、需要の不足や一生のうちに何度かしか行わない模様替えのためのプラットフォームになってしまうことを恐れてはいない。バックランド氏が指摘するように、人々は不動産テックのZillow(ジロウ)のサイトをいつも見ているし、Reddit(レディット)の夢の家に関するチャンネルではデザインを楽しんだりもしている。同スタートアップは、そうした人たち、つまり現実主義者だけではく、夢見る人たちにもサービスを広げたいと考えている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:The Landing住宅インテリア

画像クレジット:The Landing

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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