シンガポールを拠点とするGrab Holdings(グラブ・ホールディングス)は3月6日、ソフトバンク・ビジョン・ファンドから14.6億ドル(約1634億円)の調達を発表した。GrabのシリーズHの資金調達ラウンドの合計調達額は45億ドル(約5035億円)を超える。
同ラウンドのそのほかの出資企業は、トヨタ自動車、オッペンハイマーファンズ、現代自動車グループ、ブッキング・ホールディングス、マイクロソフト、平安保険、ヤマハ発動機など。トヨタは2018年6月にトヨタ本体から10億ドル(約1110億円)を出資したほか、2017年には次世代技術基金(Next Technology Fund)を通じて資金を投入している。
Grabは、東南アジアでUberやLyftのようなオンデマンドの配車サービスを運営している、2012年設立のスタートアップ。自家用車向けにGrabCar、オートバイ向けにGrabBikeの配車サービスを提供するほか、相乗りサービスのGrabHitch、配送サービスのGrabExpressも手がける。決済サービスとしてGrabPayも提供している。2018年3月には、Uberの東南アジア事業を買収するなど勢いが止まらない。
同社は調達した資金で、アクセスや利便性の向上を目指してサービスを拡充。東南アジアにおいて掲げた「スーパーアプリ」のビジョンを推進している。具体的には、金融サービスやフードデリバリー、配送サービス、コンテンツ、デジタルペイメントなどの事業領域の拡充を続けている。今回調達した資金については主に、Grabが2輪車市場の60%、4輪車市場の70%の市場シェアを占めるインドネシアに投下する予定だ。
さらにオープンな「GrabPlatform」を基盤として、オンデマンド・ビデオサービス、デジタルヘルスケア、保険サービス、オンライン予約サービスなども始める。それぞれ、ストリーミングプラットフォームを手がけるシンガポールのHOOQ、総合健康プラットフォームを提供する中国・平安好医生、保険のIT化に取り組む中国・衆安国際、おなじみ「ブッキングドットコム」のブッキング・ホールディングスと連携する。
東南アジアを席巻し、ケタ違いの資金調達を連発しているGrab。配車サービスに留まらず、ここ数年でフードデリバリーやモバイル決済にも進出するなど、猛スピードで事業を拡大している。東南アジアの次はどこに焦点を定めるのだろうか。