新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが経済に与えた衝撃は、数百万の人々の経済展望にも悪影響を及ぼし、さらに数百万の人々に財政的困難をもたらし続けているが、こうした苦難の時代は、一方でこれまで以上に弾力的で機転の効く金融システムも生み出した。
クラウドファンディングという卓抜なアイデアは過去10年間で一番の「サクセスストーリー」(International Banker記事)と考えられており、新型コロナ支援に大胆で新しい取り組みが求められるこの決死のとき、銀行をはじめとする金融機関がクラウドファンディングプラットフォームと手を組み、彼らの取組みと影響を強化する理想的チャンスが訪れている。
新型コロンクラウドファンディング、人を助ける可能性の世界
金融機関がどのようにクラウドファンディングのキャンペーンを支援できるのかを考える前に、パンデミック下にこの金融施策から得られた多種多様な目覚ましい成果を見てみよう。人々が家賃を支払うか食料品を買うかを選び、他の無数の絶望的状況下にある中、私たちは企業や起業家や一般の人がクラウドファンディングを利用して、必要なお金がなく、借金も限度まで使い切り、政府の支援を受けられない消費者のために新型コロナウイルス感染症救済を提供する方法を考えるべきだ。
新型コロナクラウドファンディングの素晴らしい事例のいつくかを以下に紹介する。
- 例えばWoks for Washingtonは、2人の姉妹がGoFundMeというウェブページを立ち上げ、地元レストランがエッセンシャルワーカーやホームレスその他必要とする人たちに食事を提供するための費用(Eater記事)を募っている。World Central Kitchenのプログラムに触発された活動だ。
- あるいは、シカゴの歴史ある著名なブルースクラブであるKingston Minesも同様のクラウドファンディング・キャンペーンを実施して、人々が電気と水道のある生活を維持することに貢献している(ABC 7 Chicago記事)。
- そしてもちろん、最も明白な新型コロナ支援事業がある。より効果のあるマスク(Fast Company記事)、あるいはよりファッショナブルなマスク(Business Insider記事)を作り、全員のための新型コロナウイルス感染保護を改善することだ。
新型コロナウイルスの時代にクラウドファンディングが提供する可能性は無限であり、金融機関は間違いなく支援の手を差し伸べられる立場にある。以下にその方法を挙げた。
1. クラウドファンディングは流行ではないことを認識する
クラウドファンディングは、あらゆる種類の企業、個人、製品にとって、極めて重要かつ意義のある資金調達手段だ。その経済への著しい寄与を否定することは、このパンデミック下のデジタル金融においては特に両目に眼鏡が必要なのに片眼鏡をかけるようなものだ。目先だけを見てはならない。すでにクラウドファンディングは生活に密着している。事実、無数のクラウドファンディング事業やプラットフォームが世界中の市場で大きな動きを見せている。例えばオーストラリアのParpera(Crowdfund Insider記事)はthe equity-crowdfunding platformsと連携してGoFundMeやKickstarter and Indiegogoなどに対抗しようと目論んでいる。
2. クラウドファンディングキャンペーンへ積極的に投資する
こうしたキャンペーンの本来の主旨から外れるようにも思えるが、適切な金額(Crowdfund Insider記事)のシード資金を会社の目標に沿ったキャンペーンに注入することは、会社にとっても起業家や理念にとってもウインウインなものであり、絶望的困難にある現在は特にそうだ。
3. コミュニティとそのクラウドファンディングの取り組み取り組みに関与する
これは、あなたの金融機関コミュニティにいる小規模、中規模の企業があなたの助けを利用できる可能性がある、という意味だ。上記したようなクラウドファンディングキャンペーンへの投資を考慮してはどうだろう。あるいは、金融機関とクラウドファンディングのプラットフォームやキャンペーンき隙間を埋めて(PYMNTS.com記事)、小規模企業がこの困難な時期に生き残るために必要なチャンスを得られよようにできればもっと良い。
4. 持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる
9月に国連開発計画(UNDP)は、デジタル金融は世界中の人々が金銭管理体験をカスタマイズ、パーソナライズすることで、自分たちの金融ニーズをより迅速かつ効率よく満たされるようにできることを宣言する報告書(UNDPサイト)を公開した。クラウドファンディングのプラットフォームやキャンペーンに協力する意志のある金融機関は、その目標をさらに前進させ、新型コロナウイルス不況の有害な影響の可能性に対する社会の一層強固な反発力を育てることができるだろう。
5. この比較的新しい業界に規制対策の専門知識を貸し出そう
他の国々では、クラウドファンディング金融分野を規制するよりよい方法をすでに考えられ始めている。例えば欧州連合(EU)のクラウドファンディング規制に対する最近の修正(Born2Invest記事)はこの秋発効する。歴史ある金融機関なら、この新型コロナウイルスパンデミック下の混迷の中であっても、クラウドファンディングのポリシーや標準的運用手順の決定を手助けできるはずだ。そうすることで、全員にとって公正で公平な金融が、少なくとも理論上は確保できる。
当初は状況、個人あるいは商品に応じて、慈善事業か新規技術導入のどちらかに使われていたクラウドファンディングは、政府や一部の銀行を含め他の組織が十分な支援を提供できていない中、新型コロナウイルス経済支援の信頼性の高い手段になりつつある。金融機関は自分たちの膨大な専門知識や知見、リソースを価値ある大義のために貸し出すべきだ。何といっても、目指すところは1つなのだから。
【Japan編集部】本稿の著者はScott Purcell(スコット・パーセル)氏。パーセル氏はAPI対応の革新的なB2Bオープンバンキング金融ソリューションを提供するPrime TrustのCEO兼最高信託責任者だ。
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:クラウドファンディング、新型コロナウイルス
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )