離れていてもみんなで歌える、3Dアバター×カラオケ配信アプリ「トピア」の新機能

3Dアバターでカラオケのライブ配信ができるアプリ「トピア」を運営するアンビリアルは7月9日、トピアのカラオケ配信で複数のユーザーが順番に「歌いまわし」できる「トピカラルーム」機能をリリースした。

バーチャルなカラオケルーム「トピカラルーム」機能

トピアはVRコンテンツを開発していたアンビリアルで、VRに似た世界観をアプリ上で表現したいと考えられたサービスだ。はじめは3Dアバターでコミュニケーションを行うアプリとして、2017年12月ごろからプロタイプの開発を開始。ちょうどVTuberブームが本格化し始めたころのことだ。

開発開始から約10カ月後の2018年10月、アバターでライブ配信できるアプリとして正式リリースされたトピア。その後、バーチャルカラオケ機能「トピカラ」を2019年7月末に追加して、約1年運営されてきた。アンビリアル代表取締役の前原幸美氏によれば「カラオケ機能を入れてから、利用は大きく伸びた」という。

アバターでカラオケ配信、というと「Mirrative」で2019年5月に実装された「エモカラ」機能なども思い浮かぶ。実際、エモカラ機能はトピカラより2カ月早く公開されているが、前原氏は「先に出されちゃったとは思いましたが、カラオケ機能自体は『SHOWROOM』や『LINE LIVE』などにもあり、はじめてという訳ではなかったので、あまり気にしていなかった」と話している。

トピアと他社のカラオケ配信機能との違いについて、前原氏は「他社はカラオケ中心ではないが、トピアはコンセプトを『アバター×カラオケ』主軸にしている」という。4000曲のカラオケ楽曲はエクシングの「JOYSOUND」から提供されるものを利用している。

具体的な特徴としては、ライブ配信ありきではなく、配信しなくても自分の声をマイクで拾って聞きながら、カラオケが歌えることが挙げられる。練習モードとして歌やアバターの動きを確認してから、配信に臨むことができる。

「リスナーとして使い始めて、配信者と仲良くなって歌ってみればと勧められたり、コミュニケーションが発生して自分でもやってみようという気持ちになったりして配信をスタートする人も多い」(前原氏)

またユーザー全体の中で、配信者の比率がトピアでは25〜30%。カラオケ機能を使って歌を歌う行動を取るユーザーも35〜40%を占めるということで「歌ったり配信したりする人の比率は、ほかのアプリに比べて高いとみており、配信しやすいのではないかと思っている」と前原氏は述べている。

課金額も成長しているとのことで、今年初頭と6月とを比較すると売上で300%の伸びとなっており、5月と6月の比較でも1.5倍に伸びているという。またユーザー1人当たりの利用時間は1日平均約150分。これは「新型コロナウイルスの影響で、2月の平均120分から伸びている」ということだった。

「どちらかというと、メディアとしてコンテンツを消費するユーザーはほとんどいなくて、コミュニティに入ってカラオケ配信を聞きながら応援したり、コメントとトークでコミュニケーションを取ったりという使われ方がほとんど」(前原氏)

今回追加されたトピカラルーム機能は、配信者だけでなく、ライブ配信に遊びに来たユーザーも歌うことができる機能だ。ユーザー同士はそれぞれ家などの離れた場所にいながら、カラオケルームのように歌い合って楽しむことができる。

  1. topia_room_a

  2. topia_room_b

  3. topia_room_c

  4. topia_room_d

曲を予約していき、順番が来るとユーザーの画面が配信モードになり、アバターとして歌うことが可能。ルームにはパスワードがかけられるので、指定したユーザーだけが歌うということもできる。残念ながら現時点では通信の遅延があるため、デュエットなどで同時に歌うことはできないそうだが、5G環境が整ってくれば対応していきたいと前原氏はいう。

「家に居ながらにしてカラオケルームのように歌えるというのは新鮮な体験ではないか」と前原氏。「家だと声が響いて気になる、という人もいるかもしれないが、イヤホンを付けて声を聞きながら歌えば、普通にしゃべっている程度のボリュームで十分大丈夫。エコーも聞くし、BGMもかかっていて、かなり気持ちよく歌えます」(前原氏)

歌とアバターを軸にプロダクト価値を向上

アンビリアルは2012年の設立だが、現在のように自社プロダクトを打ち出して活動を始めたのは2016〜2017年ごろからのことだ。VRに興味があったことから、VRコンテンツとしてマルチ対戦アーケードゲームを開発し、2017年の東京ゲームショウに出展したこともある。

ただ、VR施設の普及にコンテンツの普及が左右されることもあって、マネタイズが難しいと判断。「コンシューマ向けVRはまだ早い」(前原氏)ということで、3Dアバターによるコミュニケーションアプリのトピア開発へ移行したそうだ。

リリース当初はカラオケ機能なしでスタートしたトピアについて、前原氏は「アバターコミュニティに価値がある」と語る。「もともとVRをやりたかったこともあって、別の世界を作ることで、人々の選択肢が増えて幸せになればいいと思っていました。トピアでは、不登校だった人が新しい人間関係がコミュニティにできたことによって、自信がついて学校に行けるようになった例や、ユーザー同士が結婚した例も既にあります」(前原氏)

前原氏は「匿名だと仲良くなりづらいものですが、アバターなら年齢・性別に関係なく新しい関係が作れる。今後そうしたコミュニケーション、コミュニティのスケールをより大きく育てたい」と話す。

また、トピアのコミュニティの独自性として、「プロのライバーにファンがつくというよりは、ユーザー同士でファンコミュニティができあがっている」との特徴を挙げる前原氏は「こうした傾向も育てていきたい」と語っている。

将来的にはこうした特徴の強化に加えて「リアルのカラオケよりリッチな演出もできれば」という前原氏。「せっかくアバターとしていろいろなことができるので、音楽ライブに出演したかのような演出なども考えてみたい」という。

「新型コロナの影響もあって自由に歌えないという人も多くいる中で、アプリ1つでライブができるような環境が用意できたらと思います。歌とアバターを軸に、プロダクトの価値が上げられるようにしたい。そのためにも、エンジニア、開発担当の採用は加速させていきます」(前原氏)

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TechCrunch Japan

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