いよいよ4月には電力自由化がスタートし、ユーザーは自らの生活スタイルや用途にあわせて電力会社やプランを選択できるようになる。この領域に挑戦するスタートアップの1社で、電力の価格比較サイト「エネチェンジ」を手がけるエネチェンジに動きがあった。
同社は2月16日、環境エネルギー投資および日立製作所を引受先とした総額4億1850万円の資金調達を実施したことを明らかにした。あわせてケンブリッジ大学発の産学連携ベンチャーであるSMAP Energyと提携。同社の日本展開の独占利用権を取得した。
エネチェンジは2015年4月の設立。サービスローンチ時の記事でも紹介したとおりだが、エプコ代表取締役 グループCEOの岩崎辰之氏や英・ケンブリッジ大学の卒業生らで立ち上げた「Cambridge Energy Data Lab(ケンブリッジエナジーデータラボ)」からMBOしている。
価格比較サイトのエネチェンジは現在月間180万UU。「エイチ・アイ・エスや東急電鉄グループなど、生活系企業が参入するなど、予想以上に多様な事業者が集まったこともあり、当初の目標以上の注目を集めている」(エネチェンジ)という。
今後はエンドユーザー向けの価格比較サービスに加えて、SMAP Energyが持つスマートメーター解析技術をベースに、電力事業者向けのデータコンサルティング事業を強化していく。開発、営業、カスタマーサポートも強化。SMAP Energyの技術をベースにしたサービス開発なども自社で行っていく。
SMAP Energyは、ケンブリッジ大学とケンブリッジエナジーデータラボが共同で設立した産学連携ベンチャー。スマートメーターのデータの解析を行っており、現在欧州で電力会社と組み、時間別の電力使用量などをもとにした電気料金のシミュレーションなどの技術検証を進めているという。同社の共同代表にはエネチェンジ創業メンバーの1人であり、ケンブリッジ大学で電力データ解析の研究を行うミログ元代表の城口洋平氏の名前もある。なおエネチェンジいわく、スマートメーターのデータ解析に関わるベンチャーは英国はじめヨーロッパで数社あるが、alartmeがBritish Gusに買収された以外は大きく躍進している会社はない状況だそう。
今後エンドユーザーが自ら選択した電力事業者からスマートメーターを受け取り、自宅に設置することになれば、スマートメーターを通じて集められたデータはリアルタイムで解析されることになる。事業者はその計測データをもとに請求書の発行や時間帯別料金の導入、家電やIoT連携などに利用されることになりそうだ。