電動キックボード事業を展開するBirdは10月3日、2億7500万ドル(約290億円)をシリーズDで調達したことを明かした。リードはCDPQとSequoia Capital。バリュエーションは25億ドル(約2670億円)。
同日にTechCrunchが主催するDisruptにて登壇したBirdのCEOのTravis VanderZanden氏は、調達した資金をもとに同社が「より多くの街に展開していく」と話した。Birdは8月、同社にとっては日本での初となる実証実験を福岡市で実施しているが、VanderZanden氏から日本での今後の展開に関して言及はなかった。「ヨーロッパに関しては引き続き注力していく」という。「Birdとそのミッションを出来るだけ早く世界に届けたい」(VanderZanden氏)。
6月に発表されたScootの買収に関して「1つのブランドになる予定は?」と聞かれたVanderZanden氏は「Scootブランドは残す」と答えた。同氏いわく、Scootの強みは「街との協力体制の構築が巧み」な点。9月にはJUMP、Lime、Scoot、Spinの4事業者が、10月15日よりサンフランシスコで電動キックボードを展開する許可を得られたとTechCrunchが報じた。この時Birdが許可を申請しなかったのは、Scootを買収していたから。ちなみに、前回は許可を得られたSkipは、今回は残念ながら許可を得られなかった。ハードウェアの安全性に関するスコアが低かったとサンフランシスコの市営交通機関は説明している。
Birdは電動キックボードのシェアリング以外にも、ハードウェアの販売や月額のサブスクを展開している。「車の所有」は当たり前だが、マイクロモビリティーはまだまだ「フレッシュスタート」であるため、様々な選択肢を用意しているという。
様々な選択肢は、ハードウェア面でも用意されている。8月には最新の電動キックボードのBird Twoが発表されたが、それ以上に印象的だったのは6月に発表されたBird Cruiserだ。
Bird Cruiserは2人乗りの、自転車とモペット(ペダル付きオートバイ)の中間のような電動の乗り物。VanderZanden氏によると、電動キックボードは1〜2マイル(1.6〜3.2Km)、そしてBird Cruiserは2〜5マイル(3.2〜8Km)の移動に適しているそうだ。そして、Bird Cruiserは電動キックボードに乗るのを躊躇する、中高年の利用も想定している。「車の稼働を削減する」と繰り返したVanderZanden氏。Birdは利用方法やハードウェアの多様性により、車よりも環境に優しいマイクロモビリティーを定番化しようと試みている。