電動スクーターのGogoroが電動自転車ブランドEeyoを発表、まずは米国で発売

SmartScooter(スマートスクーター)で知られるモビリティ企業Gogoro(ゴゴロ)は5月28日、新しい電動自転車ブランドEeyoの詳細を発表した。2つの軽量モデルはともに内蔵型ハブであるSmartWheelで作動する。Gogoroがデザインしたこのハブには、モーター、バッテリー、センサー、スマートコネクティビティ技術が統合されている。

EeyoはGogoroが米国で展開する初の商品となる。同社は9年前に元HTC幹部によって設立された。電動自転車は米国と同社が拠点を置く台湾で7月に、その後欧州でも発売される。

顧客30万人超を抱えるGogoroのSmartScooterと専用の充電ステーションは台湾の街ではよく目にするものだ。軽量の充電式バッテリーを含め、同社が開発した技術はヤマハやスズキ、Aeon、PGOが製造するスクーターにも使用されている。GogoroはEeyoの技術もこれまで同様に製造パートナーが利用できるようにする計画だ。

Gogoroの共同創業者でCEOのHorace Luke(ホレイス・ルーク)氏は「アジアや欧州の多くの都市ではスクーターが広く使われているが米国ではそうではなく、そのため米国で展開する初の商品としてSmartScooterの代わりにEeyoを作ることを決めた」とTechCrunchに話した。

チームは1年前にEeyo立ち上げを計画し始めたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の最中に展開するプロジェクトになるとは思いもしなかった。パンデミックによって電動自転車に対する新たな需要が生まれたが、その前に「マーケットはすでに急速に拡大していた」(PR Neswswire記事)とルーク氏は語った。

「現状では公共交通機関の使用は減少していて、人々はかなり警戒している。そのため動き回るのに別の手段を模索している。多くの街に坂道がたくさんあり、通勤時間は長く、道路が通行止めになっていたりして、車はかつてのように効率のいいものではなくなった。そのため電動自転車の需要は大きく、マーケットは爆発的に大きくなっている」とルーク氏は話した。

同社は「人力と電気のハイブリッド」をつくるというアイデアで約3年前にEeyoに取り掛かった。

「我々が作ったものに実際に乗るまでは『人力と電気のハイブリッド』は『電動バイク』の素敵な呼び方のように聞こえるかもしれない」と同氏は言う。「このプロジェクトを進めるのにかなりの時間がかかった。実用性とパワーアシストに注力するのではなく、我々は異なるパラダイムを構築したかった。『グローサリーストアに行くのに電動自転車を使う必要がある』というのは普通ならエキサイティングなことではないが、いかに軽快でエキサイティングなものにするかにフォーカスしたかった」。

Eeyoの初の電動自転車モデルとなる1と1sは特定のユーザーを思い描いてデザインされた。坂道のような手こずる道にも対応できる、機敏で速く走れる自転車を求めている都市居住者だ。「私が18才のときに抱いていたのと同じフィーリングを与えてくれる、そして『汗をびっしょりかかずにどこへでも行ける、そんな自転車が欲しい』とチームに言い続けてきた。顧客が自転車に乗ることに興奮と喜びを覚えるようにしたかった」。

Eeyo 1sと1の重さはそれぞれ26.4ポンド(約12kg)と27.5ポンド(約12.4kg)で、通常45〜50ポンド(約20〜23kg)する多くの電動自転車より軽い。カーボンファイバー製のフレームはライダーが自転車を肩に担ぐことができるようにデザインされている。ハブにチャージャーを差し込んで、あるいはスタンドチャージャー(オプション)に置いて充電できる。

バッテリーや充電ステーションを含め、GogoroのSmartScooterで使われているテクノロジーの多くが同社のエンジニアによってデザインされた。EeyoのキモとなるテクノロジーのSmartWheelも社内で開発された。

「パフォーマンスを支えるメカニズムのSmartWheelは我々のイノベーションだ。ハブベースのモーターで、バッテリーとセンサー、コンピューターシステム、モーターシステムを内蔵している」とルーク氏は説明した。同社のインテリジェント・パワー・アシスト・システムも搭載している。ここにはライダーがどれだけハードにペダルをこいでいるかを感知し、自転車がアシストすべきパワーを計算するトルクセンサーが使われている。

SmartWheelはまた、Eeyoアプリとも接続する。スマホを自転車に設置すると、ライダーはアプリでスピードやペダリングパワーをモニターできるようになる。SmartScooterの自動アップデートと同様、無線でファームウェアとソフトウェアを更新する。

Eeyo 1sと1どちらのモデルもSmartWheel、カーボンファイバーのフレームとフォークを使っている。そして2つの走行モードを備える。「スポーツモード」ではライダーのペダリングに反応し、フル充電で走行できる距離は40マイル(約64km)だ。「エコモード」ではアシストの強さを制限することでバッテリーを温存し、走行できる距離は55マイル(約88km)に延びる。

Eeyo 1sは「ウォームホワイト」1色のみで、シートポストやハンドルバー、リムはカーボンファイバーでできている。価格は4599ドル(約49万円)だ。一方のEeyo 1はクラウドブルー」と「ロブスターオレンジ」の2色から選べ、シートポストやハンドルバー、リムは合金製で、3899ドル(約42万円)となっている。

Gogoroは自らを、車両製造だけでなく電動車両や車両シェアリングのテクノロジーを開発するモビリティプラットフォーム事業者だと考えている。ルーク氏によると、同社はSmartWheelを含む電動自転車テクノロジーを他のメーカーが使えるようにしたいと考えている。というのも、Gogoroはスクーター事業ですら「フリーサイズ」アプローチとっていないからだ。それがヤマハやスズキ、Aeon、PGOと協業する理由でもある。

パートナーとの協業は、さらに電動車両を広めて大気汚染を減らすというGogoroの目標に向けた取り組みを進めることになる。

「変化を起こすための時間は限られていて、共に取り組む仲間がいればかなりのインパクトになる」とルーク氏は付け加えた。「他のメーカーはよりレジャー向けの実用性にフォーカスしたものを作る。その一方で我々はスポーツ性や機敏性、楽しさにフォーカスしている」

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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