電動自転車メーカーRad Power Bikesが新型コロナを追い風に約158億円調達

電動自転車は2020年にブームとなった。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックと、それによって引き起こされた消費者の日常生活の混乱による原動力となっている。

そして今、Rad Power Bikes(ラッドパワーバイクス)はそうした追い風を生かして従業員の倍増とグローバル展開に注力している。

シアトル拠点の同社は米国時間2月4日、Morgan StanleyのCounterpoint Global Fund、Fidelity Management & Research Company、TPGのグローバルインパクト投資プラットフォームThe Rise Fundといった機関投資家、そしてT. Rowe Price Associatesのアドバイスを受けたファンドや個人から1億5000万ドル(約158億円)を調達したと明らかにした。既存投資家のDurable Capital Partners LPとVulcan Capitalも参加した。

米国の電動自転車スタートアップとしては最大となるこの資金調達は、Rad Powerの事業モデルと2019年に1億ドル(約105億円)だった売上高の今後の成長を証明している。

Rad PowerはD2C(消費者直接取引)の電動自転車販売会社でファットタイヤ、大容量バッテリー、モーター、タッチスクリーン、さらには貨物運搬能力すらも組み合わせてしっかりとしたプロダクトを製造することで知られている。そして価格は競合相手よりも数百ドル(数万円)安い。

2007年創業の同社は当初、カスタム自転車を少量生産していた。それが変わったのは2015年だ。同社の創業者でCEOのMike Radenbaugh(マイク・ラデンボウ)氏が友人のTy Collins(ティ・コリンズ)氏とチームを組み、D2C事業として再ローンチした。その年、ラデンボウ氏とリンズ氏はクラウドファンディングIndigogoキャンペーンを通じてRadRover Electric Fat Tire自転車を立ち上げた。同社は大量販売者に進化し、今ではポートフォリオに11モデルの自転車をもち、30カ国で販売されている。

Rad Powerは自転車以外のものにも取り組んだ。オンライン販売プラットフォーム、購入前後の顧客サポートチーム、小売ショールーム、バンを使ったサービス、ローカルのサービスパートナーネットワークを立ち上げた。事業を拡大してもずっと利益を上げていた、とラデンボウ氏は話した。

同社はほとんど自己資金で事業を展開してきたが、2009年に数百万ドル(数億円)を、2020年に2000万ドル(約21億円)をプライベートラウンドで調達した。同社のこれまでの累計調達額は1億7500万ドル(約184億円)で、その大半は今回の新規ラウンドでのものだ。

「これは特別な機会だと考えました。というのも、すでに何年も試験し、うまくいうことがわかったさまざまなエリアの事業への投資を加速させることができるからです」とラデンボウ氏は述べた。

調達した資金は事業の全部門のスケール展開に使われる、と同氏は話した。Rad Powerは現在325人を雇用しており、2021年末までに倍増させる計画だ。また小売ショールームやサービスロケーションを増やし、サプライチェーンの多様化と、自転車カスタマイズのためのアクセサリーの増加を目的にメーカーとの契約も引き続き増やす計画だ。

今後最も急速に成長するチームは現在35人が所属するR&D部門だとラデンボウ氏はつけ加えた。

「中核となる戦略は今後も新しい乗り物のカテゴリーを開発することです。なので、当社が電動自転車の会社である間、そして当社は常にペダルとそうした種のエクスペリエンスを生み出そうとしていますが、電動自転車とスクーター、モペッド、さらには自動車産業との境目を真に曖昧なものにするものを作り出し続けます」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Rad Power Bikes資金調達電動自転車

画像クレジット:Rad Power

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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