電動自転車人気急増の中、FuroSystemsは新車発表前に初のベンチャー投資を調達

新型コロナウイルスの影響で自転車通勤が増え、都市はきれいな空気を求めている。電動自転車革命は始まったばかりだ。英国の電動自転車メーカーFuroSystems(フーローシステムズ)が初めてのベンチャー投資ラウンドをクローズさせたというニュースも、それを裏付けている。75万スターリングポンド(約1億500万円)のこのラウンドには、 TSP Venturesとヨーロッパのインパクト投資銀行ClearlySoと、数多くのエンジェル投資家が参加している。

VanMoof(バンムーフ)やCowboy(カウボーイ)といった電動自転車スタートアップと違い、ロンドンを拠点とするFuroSystemsは、電動自転車というコンセプトにおもしろい解釈を持ち込んだ。同社製自転車の売りは、大変に軽量であること。そのため、モーターを使わないときでも、普通の自転車と同じように軽くペダルが踏める。しかも、通常の自転車と争うほどの低価格だ。

数ある電動自転車メーカーとは異なり、FuroSystemsには折り畳み自転車もあり、カーボンファイバー製フレームを採用したFuro Xは、わずか15kgと、電動自転車では世界最軽量を誇る。取り外し可能な高密度リチウムイオンバッテリーの走行距離は55km。シマノのギアや油圧式ディスクブレーキなど、業界標準のパーツを使っているのもFuroSystemsの特徴であり、Gocycle(コーサイクル)やBrompton(ブロンプトン)などのメーカーと張り合える点になっている。

こうした要因から、通勤者の間で人気が高い。

その結果、電動スクーターも製造しているこの企業は、新型コロナによるロックダウン以降の需要が前年比で5倍と跳ね上がった。珍しいことに、創設当初から利益を出していたと同社は話すが、今回の投資は次期製品ラインの研究開発に投入するという。

CEOで共同創設者のEliott Wertheimer(エリオット・ワートハイマー)氏は、声明の中でこう話している。「私たちはいま、100年に一度の交通変革の時期を迎えています。それは、私たちが環境に与えている悪影響への意識の高まりと、より健全な個人的選択を求める新たな願望によるものです。電動自転車と電動スクーターは、渋滞や大気汚染といった今日私たちが直面している交通問題の解決には、欠かせない存在です」。

ワートハイマー氏は、需要を満たすために自転車製造の一部をポルトガルに移す予定についても話していた。

TSP VenturesのCEOであるChris Smith(クリス・スミス)氏は「電動自転車市場は、ここ数年間で爆発的に拡大し、2025年には売上高が100億ユーロ(約1兆2400億円)に達する勢いです。FuroSystemsは、この急成長業界の交差点に立っています」とコメントしている。

このスタートアップは電動スクーターFuze(フューズ)のデザインと製造も行っている。ピーク出力は最大800W、フロントに2つ、リアに1つのサスペンション、前後に機械式ディスクブレーキ、リモートキーロック、警報システム、強化型の10インチ空気入りタイヤを備えた高級スクーターだ。出力とスピードは、それぞれの地域の規制に応じて調整ができる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:FuroSystems電動自転車

画像クレジット:FuroSystems

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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