電子トレカでスポーツチームを支援できる「whooop!」が正式公開、7種目12チームから展開

スポーツチームやアスリートがオンライン上で電子トレーディングカードを発行することで、ファンと関係性を深めたり資金を集められる「whooop!」。TechCrunchでも5月に紹介した同サービスが、ベータ版を経て10月10日に正式リリースとなった。

ベータ版では3チームだったスポーツチーム数も7種目12チームまで拡大。まずは2018年末に50チーム以上での展開を目指していくという(後日トレカを販売することが決まっているチームも含めると15チーム。具体的なチーム名は記事末尾にて紹介)。

whooop!は各ユーザーがチームの発行した“電子トレカ”を購入・売買することで、そのチームを応援できるプラットフォームだ。

ユーザーがトレカを購入する方法は2パターン。チームのカードパックを直接購入するか(カードは1枚から購入でき、どのカードが当たるかはランダム)、オークション機能を使ってユーザー同士で特定のカードを売買する。

直接購入した場合にはカード代金の90%が、ユーザー間で売買した際にも取引額の2.5%がチームの収益となるので、カード集めを楽しみながら好きなチームを応援できるのが特徴だ。

チームは保有するカードの種類や量に応じた「特典」をつけることが可能。たとえばチームの運営方針に関する投票権を付与したり、e-sportsなどであれば「実際に好きな選手と1対1で対戦できるイベント」を設けるのもありだ。今後はファンクラブのような形でチーム側から情報を発信し、カードを持っているユーザーだけがその情報をチェックできるような仕組みも入れていくという。

運営元であるventus代表取締役CEOの小林泰氏と取締役COOの梅澤優太氏に近況を聞いてみたところ、実際に3チームで運用してみた中で「(好きなチームを応援できるような場所を求めているファンがいて)whooop!のようなプロダクトに対するニーズがあること、お金を払ってトレカを買ってくれる人が一定数いることは検証できた」(梅澤氏)という。

たとえば9月からカードを販売しているサッカー東海リーグ1部の鈴鹿アンリミテッドの場合、ホーム開催の試合に合わせて販売をスタートしたところ、3〜4時間で数百枚のカードが売れたそう。チームを応援したいと思っているコアなファンは試合会場に足を運んでいるケースが多いので、ホームゲームというリアルイベントに紐づけて会場でビラ配りなどをすると、関心を持つ人も多いようだ。

「現地でファンに話を聞いてみても『カードを集めること自体も楽しいけれど、それ以上に使ったお金がチームにしっかりと還元されるのがいい』という反応が多い。当初から、クラウドファンディングのようにモノの対価としてではなく、純粋な支援としてチームにお金が還元される仕組みを作りたいという思いがある。トレカを買うというよりも、好きなチームを支援した結果、それを証明するものとしてトレカがついてきたというような世界観を目指している」(梅澤氏)

スポーツチーム側にとっては、在庫がなく原価もかからないのが特徴。大きなリスクやコストなどの負担なく続けられ、トレカを軸にファンとの関係性も深められるような場所を意識しているという。

「チームが新しいチャレンジをするための“道具”になれそうな手応えはある。より深く掘り下げられるようなポイントにも気づけたので、今後は機能面をさらに拡充し、より面白い場所にしていきたい」(小林氏)

whooop!ではトレカを買った結果、どのくらいのお金がチームに還元されているかがわかるようなデザインになっている

冒頭でも触れた通り、正式リリースに合わせてチーム数も12チームまで拡大。種目数が広がったことに加え、筑波大学蹴球部(サッカー部)のように大学スポーツのチームもトレカの販売が決まっている。

2018年内に50チーム以上、2019年初頭には100チーム前後への展開を見込んでいて、すでにサッカーJリーグのクラブやラグビーチームとも話が進んでいるそう。国内だけなく欧州有名サッカーチームとの協業も予定しているという。今後もさまざまな種目・規模のチームを加えることで、「いろいろなチームやファンが集ったスポーツ横断型のコミュニティ」の形成を目指していく。

本日TechCrunchではスポーツチームに投げ銭をできる「Engate」も紹介しているけれど、スポーツチームやアスリートが収益源を確保したり、ファンとの関係性を築いたりする方法はもっとアップデートできる余地がありそうだ。

なお本日時点でwhooop!に参加することが決まっている15チームは以下の通り(鈴鹿アンリミテッド、宇都宮ブリッツェン、名古屋OJAはベータ版から参加)。

  • 東京武蔵野シティFC(サッカー/JFL)
  • コバルトーレ女川(サッカー/JFL、トレカ販売開始は後日)
  • 鈴鹿アンリミテッド(サッカー/東海リーグ1部)
  • 筑波大学蹴球部(サッカー/大学サッカー、トレカ販売開始は後日)
  • 琉球アスティーダ(卓球/Tリーグ)
  • 宇都宮ブリッツェン(サイクルロードレース)
  • 那須ブラーゼン(サイクルロードレース)
  • キナンサイクリング(サイクルロードレース)
  • ヴィクトワール広島(サイクルロードレース)
  • 名古屋OJA(e-sports)
  • CYCLOPS athlete gaming(e-sports)
  • 広島ドラゴンフライズ(バスケ/B2)
  • TOKYO DIME(バスケ3×3)
  • スタープラチナ(女子ゴルファーサポートチーム)
  • 埼玉アストライア(女子プロ野球、トレカ販売開始は後日)

投稿者:

TechCrunch Japan

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