韓国のチャットアプリKakao、モビリティ部門を分社化し4億3700万ドルを調達

およそ5000万人のMAU(月間アクティブユーザー)を誇る、韓国で一番人気のメッセージングサービスKakao。その運営元のKakao Corp.は、国内ではUberにも勝る配車サービスを運営しているモビリティ部門を分社化し、引き続き事業の多角化に取り組んでいる。

さらに「Kakao Mobility」の分社化を受け、米投資会社TPGは5000億ウォン(約4億3700万ドル)を同社に投資した。なお、TPGのポートフォリオには、AirbnbやSpotifyのほか、Kakao Mobility最大のライバルUberが含まれている。

分社化は「意思決定の迅速化と積極的な市場拡大」を目的にしていると、2014年に数十億で大手ネット企業Daumと合併したKakaoは述べた。

Kakaoの成長維持に関してプレッシャーを感じている36歳のCEO Jimmy Rimは、主要部門の分社化を通してビジネスの増強を図ってきた。今回のニュースの数か月前にも、同社はモバイル決済サービス「Kakao Pay」やその他の金融サービスを運営するKakao Pay部門を分社化し、Alibabaのフィンテック子会社Ant Financialから2億ドルを調達していた。

Kakao Mobilityが運営するプロダクトの中でもっとも有名なのは、2年前にソウルでローンチした配車サービスのKakao Taxiだ。同プロダクトは、韓国におけるKakaoの支配力(国内で利用されているスマートフォンの95%にインストールされている)を活用し、メッセージングサービス以外の分野に進出するためにつくられた。なお、Kakao Taxiでは現在1日あたり150万件の配車依頼を受け取っており、既に日本への進出も果たしたとKakaoは話す。

一方、Uberは韓国での業績を発表しておらず、苦戦を強いられているようだ。

韓国政府は2014年に、当時CEOだったトラビス・カラニックに対して逮捕状を発行しており、UberXに関しては、2015年に無許可営業を理由に同国から撤退して以降、復活の話は耳にしていない。同年にはどうにかUber Blackのサービスが再開され、外国人や公務員、65歳以上の高齢者の利用に限るというルールもようやく撤廃された。

つまり、Uberは韓国市場には未だ十分に入り込めておらず、KokaoやCallbusといった競合サービスが現在でも幅をきかせている

配車サービス以外のKakao Mobilityの事業としては、270万人のMAUを誇る運転代行サービス「Kakao Driver」や、2016年2月のローンチから登録ユーザー数が1000万人まで増えた地図サービスの「Kakao Navi」などが挙げられる。

今回調達した資金は、さまざまな新サービスの導入に使われることになる。具体的には、法人向けのKakao Taxiや、Kakao PayのKakao Taxiへの導入、試験走行サービスのほか、日本以外の海外市場への進出などが予定されている。さらに同社は、Kakao DriverとKakao Naviの機能拡充も行おうとしている。

「これまであまりインターネットと関係していなかった業界のオンライン化が、世界中で急速に進んでいる。特にモビリティ分野には大きなチャンスが眠っており、注目が集まっている」とKakao MobilityのCEOに就任したJoohwan Jungは声明の中で述べた。

さらに彼は、「無限大の可能性をつかむため、戦略的パートナーシップや優秀な人材の採用を通じて、モビリティサービスのユーザーや顧客企業に新たな価値を提供していきたいと考えている」と記した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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