アメリカと日本の株式市場に上場するチャットアプリ「LINE」の親会社であるNAVERは、ソフトバンクと共同で4300万ドル規模のファンドを設立すると発表した。同社の子会社が運営する2つのサービスを強化することが狙いだ。
「SB Next Media InnovationFund」と名付けられた当ファンドでは、NAVERの子会社であるSnowとWebtoonとシナジーを持つスタートアップやテクノロジーに投資することを目的としている。SnowはFacebookが買収を検討していると報じられたSnapchatに似たアプリを提供しており、Webtoonはオンラインコミックを提供する企業だ。このファンドの投資先は韓国国内の企業に限ったものではなく、世界中の企業を対象にしている。そのコネクションを提供するうえで重要なパートナーとなるのがSoftbankなのだ。
LINEは今年の夏に上場し、その際に11億ドルを調達している。その親会社である韓国の巨大Web企業NAVERが次に期待するのがSnowとWebtoonだ。Snow CEOのChang-Wook Kimと、Webtoon CEOのJun-Koo Kimがアドバイザーとして就任する当ファンドでは、主にコンテンツ製作やテック系のスタートアップに投資をしていくという。その中でも特に注力していく分野としてARとVRが挙げられている。
NAVERがこのようにファンドをビジネスの手段として利用するのは今回が初めてではない。今年9月には、LINEは海外市場でのプレゼンスの拡大を狙い、米国とフランスを拠点とするファンドに出資したと発表している。また、同社は「ライフスタイル」アプリの支援を目的として設立されたファンドを所有しており、同ファンドを通してゲーム関連企業などに出資をしている。
LINEにとって、グローバルなプレゼンスを持つことは特に重要だ。同アプリは2億1800万人ものアクティブ・ユーザーをもつものの、昨年の成長率はこれまでに比べてかなり落ち込んでいる。とは言うものの、創業から1年で総ダウンロード数が8000万回、そして月に1000万回のペースで新しいユーザーにダウンロードされているSnowの成長率と比べても、LINEの成長率が格段に高いことは確かだ(実際、今年の9月にLINEはSnowとのシナジー強化を目的に4500万ドルの出資を行っている)。
Webtoonのサービスはオンラインコミック版のNetflixとも言えるサービスだ。同サービスはWebに加えて、iOSとAndroidアプリで利用できる。同社もまた、新規ユーザーの獲得のためにLINEを利用しているものの、現在の会員数は公表していない。
同ファンドは今年の終わりまでに500億ウォン(約4300万ドル)を調達することを目指している。その内訳として、Naverがその大半の400億ウォン、ソフトバンクグループのSoftBank Venturesが45億ウォン、Korea Venture Investmentが5億ウォンを出資し、残りの50億ウォンを第三者から集めるとしている。
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