なぜAppleとGoogleは、突然あれほど音楽ストリーミングに熱心になったのだろう?なぜなら、それが人々をiOSやAndroidに呼び寄せるからであり、人々が音楽を聞くのはモバイルだから。それがSpotifyの最新データから得た私の結論だ。
Spotifyは、同社のブランド広告主に対して、いまや主要な聴取手段はモバイルであり、携帯電話が42%、タブレットが10%を占め、デスクトップアプリは45%、ウェブプレーヤーは3%だったと発表した。どうやら、スマホでのシャッフルプレーとタブレットでの広告付き無料サービスを開始した2013年末以来、Spotifyを出先で使う人が増えたようだ。
これを含め様々なデータが、今週CESで行われたブランド広告主向けパーティーの画面に表示された。Spotifyは本件についてコメントしなかったが、データの信憑性については否定しなかった。
しばしばSpotifyは、同サービスのユーザー数と購読者数を誇らしげに宣伝する。月間アクティブ5000万人、有償顧客は1200万人だ。しかし、Mediumのファウンダー、Ev Williamsが先週明言したように、重要なのはエンゲージメントであり、誰かが今月1分間サービスに立ち寄ったかどうかではない。
Spotifyは、デスクトップとモバイルの両方で聞いているクロスプラットフォームユーザーの平均聴取時間は1日あたり150分だと言っている。これは、米国で2014年に楽曲ダウンロードが12%減少する一方で、音楽ストリーミングが年間54%も伸びた結果だ。
Spotifyのエンゲージメントデータを見ると、ユーザーをモバイルとデスクトップの両方で捕まえることが、同サービスへの固定化とエンゲージメントを拡大していることが見て取れる。ユーザーは、デスクトップで作ったプレイリストをモバイルで聞き、あるいはモバイルのSpotify Radioで知ったアーティストのアルバムをデスクトップで聞く。これはブランドに対する、Spotify上にブランドプロフィールを作りプレイリストを配布するオウンドメディア戦略を真剣に考えるべきであるというシグナルでもある。
そしてSpotifyによると、ユーザーの55%がアカウントをFacebookと接続している。これは重要だ。なせならSpotifyはユーザーの友達リストを手に入れて、テイストの似通った友達からなる音楽ソーシャルサブグラフを作りたいからだ。Spotifyが最初に米国でスタートした時は、登録するためにはFacebookアカウントが必須だった。この制約をなくしたことは、現在2200万人のユーザーがアカウントを切り離していることを考えると賢い選択だった。
AppleがiTunesストリーミング音楽をこの夏にも開始するかもしれないという噂の中、Spotifyはその前に音楽リスナーたちを囲い込むために全力を注いでいる。
Spotifyは様々な新機能によって同サービスを強化してきた。Top Tracks In Your Networkは、ユーザーがフォローしている人に応じて常に更新されるニュースフィード型のプレイリストだ。 Uberとの提携によって車内で音楽を聴けるようにした。通信会社と提携して,Spotifyの定期購読をモバイルプランに組み込み世間を驚かせた。さらに同社は、 DJayなどのサードパーティーサービスにAPI経由で、合法的な音楽再生を提供することによって、ユーザーがSpotifyの全楽曲をDJできるようにした。
すべての行動は、Appleのストリーミングが提供される前に忠実なSpotifyユーザーをできる限りふやすことを目的にしている。iPhoneのメーカーであるAppleはハードウェア販売で何十億ドルも稼いでいるので、料金をSpotifyの月間10ドルより下げてくる可能性がある。AppleのストリーミングサービスがiPhoneにバンドルされるか、少なくてもプレインストールされれば、いきなりSpotifyのユーザー数を超えることもありうる。
Spotifyの最大の狙いは、ユーザーがプレイリストを作り、ラジオ局をパーソナライズして音楽ソーシャルグラフ作って長期購読契約を結ぶよう仕向け、ライバルに乗り換えないことを願うことだ。ソフトウェア利用全体がモバイルへとシフトする中、最新の統計データは少なくともSpotifyが未来のデバイスでユーザー基盤を固めつつあることを示している。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)