人の行動や要求は変わるから、顧客の心を知ることは難しい。しかしClootrackは、どうやらこの難題への答えを見つけたようだ。
同社はこのほど、Inventus Capital IndiaがリードするシリーズAのラウンドで400万ドル(約4億4000万円)を調達したことを発表した。これには、既存の投資家であるUnicorn India VenturesとIAN Fund、Salamander Excubator Angel Fund、そして個人の投資家としてJiffy.aiのCEOであるBabu Sivadasan(バブシ・バダサン)氏が参加した。共同創業者のShameel Abdulla(シャミール・アブドゥラ)氏によると、これで同社の総調達額は460万ドル(約5億円)になるという。
Clootrackは、顧客の体験をリアルタイムで分析し、なぜ顧客が定着しているのか、あるいは去ってしまったのかを把握できるようにする。創業者のシャミール・アブドゥラ氏とSubbakrishna Rao(サブバクリシュナ・ラオ)氏はどちらもIT出身だが、2015年に買収されたアブドゥラ氏の2つめの企業であるJiffstoreで数年前に出会い、2017年にClootrackを起こした。
B2Cや消費者向けのブランドは、ネットプロモータースコア(Net Promoter Score、NPS)といった顧客満足度指数を使って顧客体験を理解しようとすることが多いが、アブドゥラ氏によると、現在の方法では、そうした体験の「why」がわからないし、遅くて費用が高く、しかもエラーが多い。
「チャネルの数が増えているため、現在の顧客は複数の場所でフィードバックを表現し、語っています。しかも今やその言葉の多くがデジタルであるため、調査をする者もオンライン販売の技術をよく理解していなければなりません」。
Clootrackは、ウェブサイトのフィードバックやチャットボットなど、すべてのファーストパーティおよびサードパーティのタッチポイントから得ることができるカスタマーエクスペリエンスデータを、粒度の高い定性的なインサイトに変換する。これによりブランド数カ月後ではなく数時間後に体験の推進要因がわかるようになるため、それらへの対応も早くなり、急速に変化するトレンドの波の頂点に常に立っていられるようになる。
アブドゥラ氏が指摘するデータによると、ブランド乗り換えの最大の要因は、顧客の体験そのものだ。そしてブランド乖離を5%減らすことができれば、利益は25%から最大で95%増加する。
今回得られた資金の多くは、すべての潜在的なタッチポイントからの顧客体験データを集められるように、プロダクトの能力を強化することに投じられる。彼の究極の目標は「B2Cプラットフォームのための唯一のプラットフォーム」になることだ。
現在の同社は、リテールやD2C、銀行、自動車、旅行、モバイルアプリによるサービスなど150社以上の顧客がいる。売上は前年比9倍で伸びている。主な市場はインドだが、米国とヨーロッパにも企業を立ち上げようとしている。
InventusのマネージングディレクターParag Dhol(パラグ・ドール)氏によると、彼はアブドゥラ氏を5年以上前から知っている。かつてアブドゥラ氏の企業に投資しようとしたが、InventusはシリーズAの投資家だったのでやめた。ドール氏によると、米国に比べて相当遅れているため、インドではマーケティングリサーチの改革が必要だという。
「シャミール(・アブドゥラ)は営業の経験が豊富で、連続起業家としても多くを学んでいるためCEOとして完璧だ。そして、サブバクリシュナ(・ラオ)は技術に強い。CMOたちは自分のデータベースにある顧客のレビューなど、非定型データの価値をよく知っているから、リアルタイムのフィードバックに魅力を感じる。だからこの2人は、今後この分野に大きな影響を与えるだろう」とドール氏はいう
画像クレジット:Mykyta Dolmatov/Getty Images
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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)