中国のスマートフォンメーカーであるVivo(ヴィーヴォ)や国営放送のCCTV、インターネット大企業Tencent(テンセント)は米国時間10月8日National Basketball Association(NBA、全米プロバスケットボール協会)への協賛を見合わせると発表した。これは、ヒューストン・ロケッツのGMが「世界最大の人口を抱える国に抵抗している香港の抗議者たちを支持する、とツイートしたことを受けた動きだ」。
今週、上海と深センで開催予定のエキシビジョンゲームの主要スポンサーであるVivoは中国のSNSプラットフォームのWeiboへの投稿で、ロケッツGMのDaryl Morey(ダリル・モーリー)氏の香港に関する見解について「不満だ」と述べた。
週末にあったツイートで、モーリー氏は香港で抗議活動を行っている人たちの支持を表明した。彼は「自由のために戦おう。香港と共に立ち上がろう」とツイートした。そして彼はすぐさまツイートを削除し、NBAが事態収拾を図ろうとしたが、モーリー氏の投稿は政治システムの批判に我慢ならない中国の多くの人を怒らせた。
声明文の中で、NBAは「モーリー氏の発言が中国にいる我々の多くの友人やファンの感情を深く傷つけたことを遺憾に思う」と述べた。ただ、スター選手が自由に発言したり、ドナルド・トランプ大統領でも誰でも批判したりすることが珍しくない中で、このNBAのスタンスは多くの人を立腹させた。
今朝早く、中国国営放送CCTVは中国で開催されるNBAの試合の放送を見合わせると発表した。
NBAコミッショナーのAdam Silver(アダム・シルバー)氏は声明文の中で論争からリーグを切り離そうと試みた。「米国と中国を含む、世界中の人がそれぞれの問題について異なった意見を持つのは避けがたい。そうした意見の違いについて判断を下すのはNBAの役割ではない。この問題について選手や従業員、チームオーナーの発言を取り締まることはしない。我々はそのようにはできない」と述べた。
NBAにとって、中国は依然として戦略的に鍵を握る国だ。NBAのデータによると、2017年から2018年にかけてのシーズンに中国では6億人超がNBAを視聴した。リーグと中国テック大企業Tencentとの間で交わされた5年にわたる試合のストリーミング権の契約金は15億ドル(約1600億円)だったとされている。
今日発表された声明文で、Tencent Sportsはプレシーズン放送を「一時的に見合わせる」とした。週末、中国のスポーツウェアメーカーであるLi-Ning(李寧、りねい)と上海浦東発展銀行はヒューストン・ロケッツへの協賛を取りやめた。
Twitterユーザーが本日、eコマース大手Alibaba(アリババ)とJD.comが同様の動きをとったようだと指摘した。中国語で「ヒューストン・ロケッツ」「ロケッツ」を検索すると、以前はNBAフランチャイズ製品が表示されていたが、今では「該当結果なし」となっている。
話は変わるが、いくつかの中国サービスは先週、風刺のアニメ番組「South Park」(サウス・パーク)の放映を禁止した。「Band in China」というエピソードで、この番組は言論の自由についての中国政府の政策や、影響を避けるために世界最大の人口を抱える国にひれ伏そうとする米企業の姿勢を批判した。
月曜日の発表文で、サウス・パークの制作者は偽りの謝罪を表した。「NBAのように、我々もまた中国の検閲を歓迎する。そして我々もまた、自由よりも金が大好きだ。偉大なる中国共産党、万歳! この秋のキビが豊作であるように! 中国よ、これでいい?」。
画像クレジット: KAZUHIRO NOGI / AFP / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)